ヤエヤマホタルが夕闇に群舞 神秘の山中で盛んに点滅 恋のシーズン

 今年3月の石垣島は天候不順で、例年この時期からゆっくりはじまるヤエヤマボタルの恋の群舞は、きわめて少ない個体数でのものだった。ある時には、カエルも鳴かず、静寂の中で観察者の懐中電灯だけが異様に光る夕闇もあった。

 昼でも暗いような場所で、どんなときにでも必ず午後7時半には出ていた於茂登山麓にも、例年より少なく、3月23日などはまったく出ない日となっていた。その3日後の26日にようやく、ぽつりぽつりと出ても、ものたりない光景だった。

4月に入っても冷え込みがあり、雨も続いてさっぱりだった。

 観察を望む観光客を連れて、毎夜、闇の道を歩くネイチャーガイドには、コノハズクやカエルの鳴き声の話を主にせざるを得なくなっていた。

 そうこうして4月5日の寒い日から一転、6日に好天となったその日、ようやくヤエヤマホタルが午後7時15分点滅を開始して現れ、次第に数が増え、幻想的な光景を展開。

於茂登岳の麓では、今にもシンクロしそうなほど強い光を放ち、見る人を魅了していた。

 たった6ミリほどの小さな体のヤエヤマホタルは、強く点滅して飛び交う雄に対し、雌は地上で弱い光を放って待っている。

 雄は雌を探し回り点滅を繰り返し、7時15分から7時45分ほどの約30分間飛び続け、やがてメスを見つけて交尾をする。

雌は卵を地中に長い時間かけ産み続ける。暗闇の中でひっそりと営まれる繁殖劇は、光が織りなす神秘の世界と、3ミリ程度の姿とは思えない強烈な点滅ぶりに、見る人を驚かせる。

あれから日々、ヤエヤマホタルは石垣島の闇夜、午後7時半頃の30分間、神秘の群舞を見せている。

(流杉一行)
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