2月20日は旧暦の1月16日。八重山ではジュウルクニチ(十六日祭)と呼ばれる伝統行事がおこなわれる。
この日は、日ごろ静かな墓の並ぶ一角が、多くの家族ずれで賑わう日となっている。(宮古島市や沖縄本島の一部でも行われている)
先祖供養の日として知られ、別名「後生(ぐしょう:あの世のこと)の正月」と言われており、家族がお墓に集い、ご先祖に家族全員で祈願し、先祖とともに飲食をともにするもの。三線を鳴らし、凧をあげる家もある。
市内のお墓が並ぶ郊外では、沿道に車がたくさん駐車され、皆、この日のために準備してきた料理を手に、お墓の前に集まっていた。
お墓の隣近所、それぞれが賑わいを見せて、日ごろ車が込まない農道では、ジュウルクニチならではの道の込み方を見せていた。昼過ぎには、敷物を敷き、テントを張り、万全の態勢で家族とお墓で、先祖に手を合わせている光景が見られた。
新城久佳さんのお墓では、家族9人が仲良く集い、ご先祖への感謝の気持ちを込めて手を合わせていた。小さな子供たちも、一心に手を合わせている姿が、とても微笑ましい光景となっていた。
「家族が健康で、一年、元気に過ごせるように、お願いしました」と新城久佳さんは、家族の健康を気遣い、願っていた。息子さんの聡さんも、久佳さんの足を気遣い腰掛けられるものを用意するなどして、家族揃っての祈願を、大切にしていた。
新盛良政さん家族では、一家13人が揃って手を合わせていた。
筆頭となる新城良政さんは、全員そろったところで、手を合わせると、一斉に皆が合掌。良政さんは、小声でご先祖に祈願の言葉を述べると、その間、全員でじっと手を合わせ続けて、良政さんがご先祖と話す声に耳を澄ましていた。
バンナ公園エメラルドの見える展望台からは、南側に広がる墓地エリアに多くの車が集結しているのを見え、この日は島全体で先祖供養をしているのが、よくわかる光景を見せていた。
学校関係は、午前で授業を打ち切り、午後は休みになり、公設市場も特産品センターは終日休みで、午後3時には公設市場の店舗全部が閉店となった。
八重山漁協も午後から休みとなり、降りたシャッターの上には、正月のしめ縄が飾られていた。
また、島の繁華街ユーグレナモールでは、多くの店が16日祭のために、一日閉店して、先祖への供養をしていた。
(流杉一行)