8月26日から28日の3日間の日程でNPO法人沖縄県自立生活センターイルカによる夏合宿が県立石垣青少年の家で開催された。
車いす障害者12名を含むヘルパーら31人が参加して実施され、島の車いすの障害者とその親らが、交流を促し、かつ障害者の自立を促すイベントが開催されたもの。
これは、車椅子を必要とする障害者とその親が参加してキャンプを楽しむとともに、車椅子が必要な障害者が将来において自立できる道を考える講座も参加。
将来を皆で交流しながら考えるもの。昨年もこのキャンプは開催されており、今回は自立支援のための親の講座も初開催して、充実度をアップ。
障害児・者を持つ親にとって、自身が亡くなった後を考えた場合、障害者が自立していける道を見つけたい切実な思いがある。
障害者の雇用から、その自立した私生活まで、高いハードルだが、これに加え個々人の障害の程度に合った可能性も個々人様々。それぞれにマッチした自立への道筋が見つけ難いのが実情でもある。
また相談先も少なく、今回、開催されたこのイベントは、そんな障害者を持つ親が相談でき、かつ同じ境遇の親との交流ができるキャンプを楽しむ場をと、石垣市で障害者サポートセンターである自立生活センター南十字星を4年前に立ち上げた金城太亮さんが中心に開催したもの。
16人のサポートスタッフと4名の障害者とともに、自立生活センター南十字星を運営する金城さんは車いすに加え呼吸器もつけ続ける重度の障害者。
しかし、金城さんは自立した生活をヘルパーとともに充実させ、活発に出歩くことで知られ、その活躍ぶりを知る車いす障害者とその親ら8家族が今回同イベントの2泊3日のキャンプと講演会に参加している。
まず初日は、市内を走るノンステップバスに乗って買い物に出発。この日の夕食にする食材を買い求めて帰還。
午後からは、親御さんを集めてのレクチャーがおこなわれ、障害者の人権についての考察がおこなわれていた。
そこでの講演である認定NPO法人障害者インターナショナル(DPI)日本会議の崔栄繁(さい たかのり)さんによる講義では、障害者が非障害者と普通にいることを目指すことが大切であると述べ、日本が2014年に障害者権利条約に批准してより、障害者が非障害者と同じように活動できるようにするための人的支援、設備や時間、場所などの変更や調整を、「合理的な配慮」として、行わなう必要性が生まれていることが述べられていた。
これより、国際条約の批准通りにするならば、日本はパラダイム(枠組み)のシフト転換が求められている実情であることが紹介されていた。
かつて障害者を排除した時代があり、それが隔離・分離した時代から、統合に向けた取り組みから、今は包摂包容の必要性に向かっていること。障害者の包摂包容の社会づくりに向けて、関係者が一丸となって取り組む必要性を述べていた。
講座に参加した島内初美さんは
「障害者に関する自立へ向けた情報が少ないので、このような会に参加したことで、気持ちの整理もできてよかった。
私の子どもの場合はグループホームで自立へ向けた取り組みを考えたいと思っています。
障害者を包摂包容する社会の実現には、障害者を受け入れる意識の高い人が少しでも増えてほしいと思いました」
と、イベントに参加できたことを喜んでいた。
(流杉一行)