2月2日、元八重山支庁のある八重山事務所でおこなわれた記者懇談会で、平成29年の八重山入域観光客数を沖縄県八重山事務所の山城秀史所長が発表。
138万6646人で、前年比11.1%増と、史上最高を記録したことを公表した。
観光客一人が八重山で物を買って消費する八重山観光消費額推計は、対前年比7・8%増の850・1億円で、61億円が増えたことになる。
2年連続の大型台風の直撃を免れて、そこでの欠航や宿泊など観光施設でのキャンセルがなかったことがこの躍進を後押ししたのは、間違いない模様。
県によると、国内路線は対前年比1・7%と堅調に推移して、海外路線が前年比44・5%と大幅に増加。これはクルーズ船の寄港回数増加や香港路線の増便が要因とのこと。
クルーズ船の寄港数は132回で(前年が95回)で、10万トンを越える船が年間41回でそこも前年より20回増えている。
空路も香港路線が前年比では3倍増えており、香港エクスプレスが7月20日から10月30日まで週6便が運航したことが増えた大きな要因となっている。
沖縄県全体では、939万6200人と9・1%の伸びで八重山の11・1%は、数では沖縄県の増加をけん引きする勢いを持つが、観光消費額は7・8%にとどまり、島に落ちる金の流れは同率に増えず、内容がともなっていない。
これは、クルーズ船の一人の観光客の消費額が平均1万3767円と低く、空路の県外からの観光客の消費額8万5515円にかなり下回る。
また、海外からの観光客の消費額が調査されて居らず、県内観光客と同額と計算してデータが算出されているとのこと。
必然、海路の入客数が44・5%の伸びにもかかわらず、空路の海外入域者の消費額が県内在住者の入域観光客の消費額5万146円をそのまま扱って数値化するため低くなり、また海路は1万3767円と低い数値であることから、観光消費額の伸びは鈍化して当然かも。
いずれにしろ、観光客数の伸びが、海路に頼るところでは、島への潤いは目減りのデータしか出てこない構造が、データの扱いからはじまっていることとなる。
正確なデータを保持する必要があるのは、間違いなく、観光の振興のプランにも大きく影響してしかるべし。
観光客数の増加が進む一方で人材不足、人手不足の実態を放置し、そのまま入域観光客数の増加だけに喜々としていれば、観光客からの評判を落とし兼ねないサービスが増え出しかねない。
実際、全国的に広がる高齢化社会と少子化からの人材・人手不足は、外国人労働者の低賃金労働に支えられて、一時支えに依存しており、観光に限らない全産業分野での事態がそこにある。
快調な観光から、自ら内容のない空稼ぎ状況が進行し、そのことを放置するなら、あとあとつけが回りかねないと、不安に感じる市民も島にはいる模様。
元来、島の生産物の利用率や、市民の雇用率など、様々な数値が入域観光客数とともにデータが用意されてしかるべきところではないか。
観光を重視する以上は、ただ、入域観光数を出す役割にとどまる行政に過ぎないのなら、中枢機能はないも同然ではないか。そんな声も聞こえてきそうな、数値に歓喜する脳天気な人々への提言も、この観光消費額のゆるい数値の出し方に感じられる。
今年は、世界遺産登録や星空保護区認定など、観光客増加要因は多い。便数や空き室があっての空路の観光客だが、4月には非公式ながら南ぬ島の埋め立て地に10万トンの船用バースが完成予定で、なお海路が伸びるなら、やっていることの内容がどこに向かっているのか不明になってくる。
島に合わせた進歩が大事なことは、島の誰もがわかっているはずだが、観光振興のキャスティングボードはどうやら島人が持っていないような、そんな気になってくる。
島が、国や県の意向に応えすぎに思えてくるのは、記者だけの錯覚か。
(流杉一行)