雇用の動きに見る八重山の経済

 5月9日、厚生労働省沖縄労働局が「雇用の動き」平成29年1月から3月期を公表。
当期の有効求人倍率は1・57倍で、前年同期に比べて0.21ポイント上昇していることが判明。宿泊業・飲食サービス業で1月から3月の間に478人という、前年が354人で124人増える破格な求人数が生まれている。人手不足がこの業界に特化している。

 ある種ホテルに客が集まり、飲食業が活性化すれば、それに伴い各業界も活性する。ものも運ばなくてはいけない。生産物も必要。あらゆる仕事現場で、需要が増して各界で求人が増えるのが通常のこと。それが、逆に減っているというのは意味がわからない。宿泊業・飲食サービス業を除く全種で求人数は減っている。(農林漁業と公務その他はわずかに増えている)医療福祉で135人、建設で47人、不動産で44人、卸売・小売業で130人、運輸で75人、製造で15人、娯楽などで7人すべて、前年同月に比べて減少の数値だ。数が充足しているだけと解釈もできるが、観光客の突出で運輸も伸びない。これはなぜか。

 これは、何を物語るか。いびつな形で部分的に活性している八重山の経済は、全体的には退潮に入っている可能性が高いのではないか。ニーズが宿泊業・飲食サービス業だけに特化し続けるなら、やがて島外資本の新規参入で、観光施設が競争を仕掛けてくるのではないか。観光に絡むところで収益があればいい。そういう感覚が、島をおかしくしないか。すでにリゾートの建設予定地が増えている。そうなれば、地元には何も残らない植民地的な観光地になってしまわないか。リゾートのおこぼれにあずかる島にならないか。正気に戻るべき。
 
(流杉一行)

この記事をシェアする