郷土芸能の夕べへの誘い

毎月2回、金曜日の夜に石垣市民会館中ホールで開催される「郷土芸能の夕べ」。なんと今日「秀風会嵩原民子八重山民俗舞踊研究所」の舞台で431回目を数えるという。1996年3月にスタートしてからもうすぐ21年。芸能の夕べ運営委員会事務局長の黒島剛さん(八重山舞台・映像工場)に話を聞いた。

「20年といえばもう、ひとつの歴史ですよね」と黒島さんは感慨深そう。人間でいえば成人したところだが、なにしろ180人の大所帯をまとめて、ここまでくるのは大変なことに違いない。しかも名うての芸能界。それぞれ一家をなし、一家言をもっている人たちである。

「私の方で、今回はこれで行きます、とピシャリと明示していかないとなかなかまとまらないというところもありますね」と。しかし、これまで続けてこれたのは目的がみんなにしっかり共通認識されているからともいえる。

①研究所の舞台発表の機会を作り技術の向上をはかる②若手を育成する③観光客に八重山の伝統芸能を見せる、この3つが「郷土芸能の夕べ」の目ざす目的であるという。各研究所だいたい年に1回の舞台がまわってくる。

「小さな研究所はなかなか発表の場が設けられないですからね。芸能の夕べがあるから助かっていると先生方はおっしゃってくれています。芸能の夕べに出たいと入門してくる若い子がいるし、芸能の夕べを目標に頑張ろうと励みになっていると。先生方が芸能の夕べの必要性をよくわかってくれていますね」

運営委員会は蔵下芳久会長に副会長が4人。会計は観光交流協会が担当。石垣市が市民会館中ホールを無料で提供し、500円の入場料収入はスタッフのギャラを支払い、残りは研究所へ衣裳のクリーニング代として支払われるのだという。

「以前は1000円の入場料でしたが、まずたくさんのお客さんに観ていただきたいし、各研究所へのチケット割り当ても負担が大きいし、500円にしました」

現在1公演の観客は120人から150人ほど。
「中ホールのキャパが300ありますので、コンスタントに200名くらいの観客がほしいですね。観光客が50~80人くらいは来てほしい。見たら喜んで帰るにちがいないのですが、集客が課題ですね」と黒島さんは言う。

ほかに課題はありますか。
「わたし的には、技術の向上ですね。芸能の夕べが継続する限り若手育成はできていくと思いますが、若手、中堅、ベテランそれぞれの味を出して、八重山舞踊を極めてほしいと思いますね。中堅になるとキレがでてきて、ベテランになると、指先の味、首の振り、技術の向上に頑張ってほしいと思います。また、地謡と踊り手はひとつでないとダメ。工工四どおりでなく、地謡は踊り手の指先を見て(音を)伸ばすところは伸ばす。やっぱり舞台はライブですから、見ごたえがありますよ」

最後にもうひとこと。
「八重山の芸能は素晴らしいです。沖縄本島とはまた違うここにしかない文化。多くのみなさんに見に来ていただいて、その文化に触れてほしいなあと思います」

「郷土芸能の夕べ」の実績により郷土芸能の夕べ運営委員会は、平成21年度「沖縄県観光功労者表彰」を受けた。

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