12月16日と17日の二日間、公益財団法人沖縄県文化振興会が先島での財団活用の機会が少ないのを危惧して、宮古と八重山で先島文化ミーティングを開催した。
「宮古/八重山の文化芸術のこれから“先”を考える」との副題を掲げての開催で、16日は宮古島、17日は八重山で実施された。
17日午後3時から石垣市役所一階コミュニティルームで開催された石垣島会場での同ミーティグには、約20人が参加。
冒頭は沖縄県文化振興会の令和6年度文化活動支援助成事業の募集要項の説明と、県から補助金を受けて実施する「かりゆし芸能公演」の令和6年度の事業が説明されていた。
申請期間が1月4日から2月5日で、応募の細かな注意点を解説していた。
また、令和4年度からはじまっている「沖縄文化芸術の創造発信支援事業」(2016年まで継続予定)についても詳しく説明されていた。
このあと、八重山の文化価値とはなにか?と題して石垣島会議が実施された。
登壇者として大田静男氏、國岡恭子氏、山根頼子氏が出席して、文化振興についての時間としていた。
ただ、冒頭から司会者の小川恵祐氏から文化振興のために、補助金事業に関する絡みでの意見も求めるなどして、このイベントが八重山文化芸術の洞察を深める会議ではなく、その方法にどう補助金を活用させるかをテーマにしていることが判明。
國岡さん(西表島在住)のサバニ大工としての取り組みに関して報告があり、國岡さん自身が実際に補助金を受けており、その感想を語ることも、司会の方から促される話となっていた。
また山根氏からは八重山資料の研究の観点から記録(古老によるユンタの歌声の記録)の大切さと、その記録のリテラシー(扱い方)への視点。この視点を持つことでより意義ある記録が多数実現することを述べていた。ただ、そこも補助金への可能性を示唆するなど、趣旨は補助金の活用を促す内容となっていた。
一方、サバニや八重山の造船技術、ユンタに触れた大田氏には、司会者が八重山文化の振興に関して何が必要かを尋ねると、大田氏は既存の支援事業(冒頭説明の補助金や助成金事業)が強いる申請受付の期間の不自然さを指摘。
大田氏は、文化振興の支援事業への疑問を述べていた。この点は聴衆からも出て、八重山での文化活動の繁忙期に当たる年末年始から2月までの期間に、受付期間を規定する違和感を述べていた。
聴衆の一人からは、振興会側に対して、ぜひ八重山の声を聴くべく取材をしてほしいという要望も出ていた。
イベントの後、記者が「八重山の側では沖縄本島からの理解の無さから皆諦めているのではないか」と聞くと、大田氏は八重山の側から沖縄県に対し、文化振興のために補助金を活用しやすい形に要求することは大事として、(八重山文化の将来を考えて)諦めずに八重山からの声を上げていくべきだとも述べていた。
(流杉一行)