稲刈りスタート 石垣島川平

 5月23日正午頃、石垣島川平の川平湾南側の水田地帯下田原で稲刈りが始まった。

 今年1月28日に田植えをした大浜永太郎(67)さんの田んぼで、1月当初は気温が低く、生育に心配要素もあったが稲は約4か月を経て黄金色に稲穂を垂れ、この日大浜さんが育てる全田んぼの2割がたが収穫待ちの状態に入り、この日急いでの稲刈りとなった。品種はひとめぼれ。

 すでに梅雨入りしており、稲刈り中の降雨は機械の不具合につながるために、この日の午前中は葉に残る雨しずくが気になり、スタートできずにいた。

 一時は刈り取りを明日に変更するも、昼になって日差しが曇り空ながらも強めになったことから刈り取りを決断。

 自然相手の仕事ゆえに、刻一刻変化する自然に合わせて、状況を見極めての稲刈りスタートとなった。この日は7反(70アール)が刈り取られた。

 黄色く色づいた田から順にコンバインを入れ、手慣れた操作で畔(あぜ)にそって周回しながら刈り取り、稲穂が機械に貯まれば、2トントラックに移動して排出するアームから自動で排出。これを繰り返して、次々に稲を刈り取っていた。

 下田原の田んぼの一部は、かつて石垣島全体にあった深田と呼ばれる山のすそ野の湿地帯に広がる自然の田んぼ。今は、土地改良でダムからの水が供給され、区画整理が進んだ田んぼがほとんどになっている。いわば珍しい自然のままの田んぼ。土地改良済みの田んぼとの違いは、自然な方は大小サイズが多彩で、畔が曲線で形が様々。土地改良の方は真四角ですぐにわかる。

 大浜さんによると、深田の田んぼは山の麓で湧くミネラル分の豊かな水が、稲の生育にも良い影響を与えるようで、通常の田んぼに比べて若干稲の生育が早くなることを述べていた。

 貴重ともいえる田んぼだが、干ばつの時はきびしいと、土地改良された田んぼの有難さにも触れていた。深田がなくなっていったのは、やはり機械が入れるようにするためには、土地改良は必要なことだった模様。

 JAやえやまの水稲担当の田盛芳氏は、一期米の稲刈りは7月中旬まで続くとのこと。

 刈られた籾は、ライスセンターに運ばれて玄米にして、1日乾燥させ、10トン貯まった状態で出荷される。JAゆらてぃく市場での販売は6月初旬を予定。梅雨時期にあり、台風の発生もあれば、まだ販売日程はきめられそうにない模様。

 日本一早い稲刈りから、日本一早い新米の販売は、天候に左右されることになる。梅雨明けが例年慰霊の日前後なのを考えれば、そこは稲作農家には厳しい日々。超早場米のつらいところでもある。

 石垣島の農家は約50戸で、玄米では今期は530トンが予想されている。西表島は160トン。西表島では5月12日には刈り取りはスタート済み。沖縄の穀倉地帯でもある八重山における稲の収穫が7月中旬まで続き、それが終わると八重山に豊年祭シーズンが到来することになる。

 (流杉一行)

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