国の無形民俗文化財、小浜島結願祭開催

 10月14日、国の無形民俗文化財で知られる西表島節祭と小浜島結願祭の2つの祭りが開催された。

 コロナ禍の影響で島外への広報は控えられての開催で、各島では慎重な構えを崩さず開催を実施。

 小浜島の結願祭では、一昨年はわずかな演目数だったが、昨年では奉納は通常実施され、祝宴だけが控えられての開催だったが、今年はそこも実施してほぼコロナ前に近いものとなっていた。と、関係者の声。

 この日、会場の嘉保根御嶽では、300人近い島民が集い、奉納芸能を堪能。終始古老からの激励が舞台に響き、賑やかな奉納が次々に続いていた。

 数多くの奉納が実施され、舞踊などの華やかな舞台が続々披露。やはり、継承を見届ける古老らの真剣な眼差しが注がれていた。特に女性陣の目は、真剣そのもの。和やかに見える舞台にも、真剣さが神への奉納の核になっている模様。

 神への願いの成就を感謝するとされる結願祭は、村人が楽しむ祭りに位置付けられているとされる。豊年祭が五穀豊穣への感謝で、結願祭は願いが結ばれたとして、願いを解く儀式とも。神とのつながりが解かれて、ひとつの区切りとされる祭りでもある。
 
 結願祭は、八重山では黒島、竹富島、石垣島川平、そして小浜島のものが有名。ただ、石垣島登野城、石垣島石垣、石垣島宮良では、毎年ではなく、決められた年に開催されている。石垣島登野城の結願祭は明日15日から2日間実施される。それは12年に一度の開催。次の開催は2036年で、滅多に見られない祭りとなる。

 太鼓隊を先頭に、棒術が続き、隊列をなす形式の次には、祝宴が待つ結願祭。このときにしか演じられない演目があるのも、気になる舞台。

 因みに、「結願」なる言葉は、遍路を歩き切った時に、願いが叶った意味でつかわれる言葉でもある。四国巡礼では「けちがん」というらしい。八重山では「きつがん」「きちがん」など。

 (流杉一行)

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