八重山の秋、鷹の渡りのスタートは、アカハラダカの飛来ではじまる。
朝鮮半島や中国中部から飛来するこの小型の鷹は、対馬から長崎を経て東南アジアでの越冬地を目指す。その途中で八重山を通過する群れが、見られることになる。
今年は台風11号、12号と続けさまに八重山を襲来。南下のコースが変わるかと心配する愛鳥家もあったが、12号が去った直後から飛来が見られるようになった。
石垣島の県営バンナ公園のBゾーン・スカイラインの渡り鳥観察所では、9月中旬から連日愛鳥家が通い、アカハラダカの飛来を観察。16日には50羽前後が飛来してより、日々飛来数が増加。1羽の日や13羽の日もあったが、コンスタントに60羽前後が見える日々が続いて、9月23日には、250羽が飛来。今年初ともいえる鷹柱が、石垣の空にできあがり、見る人を喜ばせた。ただ、遠い距離での出現で、双眼鏡での鑑賞しかできなかったのは、残念だった。
こういった鷹柱が、渡り鳥観察所の近くで突如爆発的に出現してくれるのが、このアカハラダカの観察の醍醐味。
かくして迎えた9月24日。うわさを聞いてか22人という異例な人の多さとなった観測所は、大きなレンズを装填したカメラ持つ人が集まっていた。
そして午前8時20分頃から小さな群れが続々現れ、現れるたびに、大きなレンズをはめたカメラが一斉に同じ方角へ向いてシャッターが切られていた。
そして、8時40分頃に、大きな群れとなって、見る人を驚かせていた。
自然に出る「これは凄い」というセリフが、口々に漏れ聞こえて、同所は盛り上がっていた。現れた数は513羽だが、見ごたえからすれば1500羽ほど見た気になった。
9月25日は、数はふるわなかった。この時点で24日がピークとみてよかった。
ところが26日も数は出ないものの、近くに現れて愛鳥家を喜ばせたようだが、27日には550羽と、24日の匹敵する数が出て、見ごたえある鷹柱が見られて、最高の日となっていた。
かくも、日々、見事な鷹柱を見られた幸福感は、愛鳥家冥利に尽きるといえそうだ。
(流杉一行)