石垣島の海底遺跡と名蔵湾の不思議 講演会

 12月5日午後1時から石垣市民会館中ホールで九州大学浅海底フロンティア研究センター主催による「石垣島の海底遺跡と名蔵湾の不思議」と題する講演会が開催された。

 定員150人と限定しての開催の中、150人を越す聴衆が集まり、「海底遺跡」のワードが持つ神秘の雰囲気に、海にまつわるガイド関係者を引き込んだ模様で、主催者も驚く聴衆の集合ぶりとなった。皆、熱心に午後4時まで耳を傾けていたのが印象的。

 講演は2部に分かれ、第1部では海底遺跡の不思議と題し、沖縄県立埋蔵文化財センターの片桐千亜紀氏と大阪府教育庁の中西裕見子氏が屋良部沖海底遺跡の紹介し、その価値をわかりやすく説明した片桐氏に、その遺跡の利用価値および楽しみ方について中西氏が展開して、水中文化遺産の活用について述べていた。

 第2部では名蔵湾の不思議と題して、3名が講演。最初は講演会の主催者の同センターの管浩伸氏が名蔵湾の地形や珍しいサンゴ種について、発見当時の話や、名蔵湾のもつ多彩な地形によって見えてくる生態系を紹介。

 「5万人がいる石垣島の目と鼻の先に、まったく知らない海域が現れたということです。」として、沿岸の海域には、開発の影響が及びそうなもので、実際、評価の低かった時代には名蔵湾を埋め立てる話も出たことも聞いていると述べていた。

 菅氏は、調査をもとに、利用計画も今後つくっていくことも、大事ではないかと思う。と、述べていた。

 このあと、魚について国立研究開発法人水産研究教育機構水産技術研究所の名波敦氏が「名蔵湾で育つ魚たちーサンゴとの関りを探る」の演題で講演。

 稚魚と成魚がどんな場所に生息し、名蔵湾の海底の谷がつくる地形が魚の供給を安定化していること。そして石西礁湖の魚の供給源に名蔵湾の地形がなることを紹介していた。

 沖縄県立芸術大学の藤田喜久氏は「石垣島の湾環境:砂泥に暮らす生物たち」を講演。

 それぞれの講演は、専門分野を通じて名蔵湾の価値を高める講演だが、海底での開発および調査を求める感じが気になる講演となって聞こえた。

 うがった見方をすれば打、実用的な研究が重視される時代に、手付かずなものが見つかれば、手に入れたがるのは、開発業者ばかりではないのかなと、少し勇み足の研究者に見えて残念な気になったのは、記者だけか。

 アンパルを守る会が、ゴルフ場開発の影響を尋ねても、農薬や水質の影響に触れるよりも学者としての学識・見識の観点で発言可能な範囲で回答する様子が気になった。

 島で調査をするとしても、島で何が起こっているかを把握して、取り組んでほしいところだが、そこはちょっと言い過ぎかも・・・。
(流杉一行)
 

この記事をシェアする