1月12日午前9時から南ぬ浜町(新港地区埠頭用地先)で石垣市主催の令和2年新春凧あげ大会が開催された。
この日は強風気味で、開催1時間前は小雨が降るコンデションだったが、開催時間には雲の切れ間も出るようになり、地先ならではの浜風が強く、凧揚げには若干技術がともなう日となった。
開会式では、石垣安史教育長が挨拶に立ち、「八重山の凧の特長は強靭な骨組みにあると聞いている。強い風が吹くほどに八重山の凧は高くあがるとされ、教育委員会では八重山の伝統凧の観点から、毎年12月に親子凧作り教室を実施しいます」と、伝統凧の継承に尽力していることをアピールし、「家族で楽しく、新年の幕開けとして、皆さんの夢と希望を託して、凧をあげていただきたい」と述べていた。
自慢の凧を手に続々集まる市民は、八角、ピキダー、アヨウといった伝統凧や、様々な形の自由凧をもって、大会に参加。大会関係者がひとつひとつ、参加者の凧糸の長さを図り、既定の長さで風に乗せて凧を上げ、その迎角を測定。見栄えもみながら、コンテスト審査を実施していた。
時折小雨がぱらつくこともあったが、午前11時30分まで審査が行われ、空には見ごたえある凧が続々あがり、それぞれの思いをのせて舞っていた。「みんな頑張れ」とメッセージと五輪マークの書かれた凧や、干支の凧、また干支の「子」の字型の凧など、不思議な凧などもあがっていた。
この日、登録された凧はピキダー12、八角16、アヨウ2、自由凧9と審査対象の凧は少ないものの、集まった凧好きな人はそれ以上の数で、会場は終始強風にかかわらず賑わっていた。
会場では、八重山伝統凧愛好会のメンバーが、持ち寄られてきた凧を見て、安定して飛ぶ方法を伝授したり、「たこ病院」で修復に手を貸したり、また審査に奮闘するなど大忙しで、大会を切り回していた。
同愛好会のメンバーによると、将来的に気になるのが、同大会への参加数は例年増える傾向にはなく、維持か後退傾向が主流で、伝統凧の継承には知恵を巡らせる必要があり、若手の関心を惹くことが大切とのこと。
そのあとは恒例のアトラクションが実施され、大きなチコチャンの凧に装填されたオオゴマダラのシャクシメーが、空中からお菓子を降らして、子どもたちが大はしゃぎでお菓子のプレゼントに歓喜する光景が広がっていた。
この日、2m四方の凧を重ねた大きな八角を上げたのは、多田浜会の6人メンバーで、3日間でつくったという。昨年は、いのしし年の生まれ年で集まった仲間で制作。その凧は八重山凧愛好会賞を受賞している。
多田浜会の保田盛秀克会長ら6人は今年も挑戦。同じイノシシ年メンバーで、今度は子年生まれ年の為に制作した。
すでに正月2日のお祝いに舞台で飾ったとのこと。今年は、昨年よりは10センチほど大きくなっているという。
同会メンバーの一人は、「さらに来年に向けて丑年の為に作るつもりだ」と意欲的だ。公民館行事に貢献していこうという思いで、今後も制作を続けていきたいと述べていた。
昨年左右均等ではなく難しい「いいね」の凧を揚げていた小禄さんが今年も挑戦。強風の中、ひと際大きな凧を見事に上げて見せていた。
五輪マークが目立ち「みんながんばれ」の言葉が見えて面白い。作り手の思いが大空に舞う姿は、清々しくて気持ちがいい限りだ。
(流杉一行)