10月27日午前10時からお魚まつりが新栄町の八重山漁協がある石垣漁港の荷捌き場で開催された。
今回で15回目となる魚の消費拡大をねらって実施される八重山漁協が主催するイベントで、市民に八重山の海の幸に関心をもってもらい、食卓に魚料理が出る機会を増やすべく取り組んでいるもの。この日、1460キロの魚介類が用意され、1300人を超える多くの来場者で会場は賑わった。
毎回、市民には好評で、今回も販売開始前から長蛇の列ができる盛況な出足で、魚を販売するコーナーでは多くの市民がアカマチ、ミーバイ、ツノマン、イラブチャーなど新鮮な魚が並ぶトロ箱の前に陣取って、買う魚を物色していた。
通常よりも安価で売られることから、来場者は真剣な面持ちで、続々会場に現れていた。
10時になると笛が鳴り、販売が開始されると、集まった市民は漁師の係員へ魚を掲げて見せ、次々に購入していた。裏では慣れない人のために調理しやすく魚の内臓をとってくれるコーナーもあり、購入者が依頼すると魚は素早く処置されていた。
シャコガイ(ギーラ)のコーナーでは、300円から500円で売られる水槽の隣には1000円から2000円で売られる特大のシャコガイが並べられ、見慣れない見事な光景を来場者はじっくり眺めていた。
購入者が貝を選ぶと、その場で大きな貝から身を出して見せ、手早く袋に入れて販売していた。
これまでやっていたジャンケンでマグロやセーイカがもらえるコーナーを止め、総菜や食事をした人に抽選券を進呈して、マグロが当たる抽選会を実施。10キロサイズのキハダマグロがもらえるとあって、総菜や食事のコーナーには多くの人が並んでいた。
また、刺身販売のコーナーでは、先着300人にセーイカがもらえるとあって、ここにも長蛇の列ができ、会場は多くの人が魚を求めて集まっていた。
周囲のコーナーでは、子供用のタッチプールも用意され、海の生物に関心ある子供たちがヒトデやナマコ、熱帯魚に触れて、はしゃいでいた。
写真集「海人」で知られる写真家の西野嘉憲さんのコーナーでは、大きな魚と格闘する海人や、八重山の海中の様子の写真が多数パネル展示され、きれいな写真に寄せられて多くの親子連れでにぎわっていた。
ミーバイの完全養殖に成功している西海区水産研究所はそのパネル展示とガザミの幼生が2年で大きく育つことを、実際のガザミを展示して来場者にアピール。
また八重山のサンゴ礁の特質を紹介するべく沖縄県海洋水産技術センターもコーナーを設置。県農林水産振興センターによる漁業士のコーナーも設けられ、海にまつわる各機関もお魚まつりで水産資源のアピールに協力していた。
環境省からも国際サンゴ礁モニタリング・研究センターの職員がサンゴについて詳しく解説するコーナーを設けて、集まってくる子供たちにサンゴについてやさしく説明していた。
午後からはキハダマグロの解体ショーが実施され、2本で90キロあるマグロが二人の海人によって同時に捌かれ、おいしそうな深紅の赤身を聴衆に見せていた。
解体しながらはじまった一本のマグロの4分の1がもらえる抽選会では、当選番号が発表された後、10秒数えて当選者が声をあげなかった場合、失格となる10秒ルールで実施され、テンポよく当選者が現れ、反応がない場合はすぐさま次の抽選となり、次々に当選番号が推移。8つのマグロの塊が当選者に手渡されていった。
この日、最初にマグロを手に入れたのは、稲嶺盛幹さん(36)。「びっくりしました。会社の仲間や友人と分けます。大きな生板はないので、知り合いの居酒屋に持っていって、切ってもらいます」と、うれしそうに話していた。
抽選会は、カマの部分や、ハラゴの部分、加えてタッチプールにおかれた3匹のイセエビと、追加で次々に抽選が行われ、会場は大いに盛り上がっていた。
昨年まで、解体ショーのマグロはジャンケンに勝つともらえる形だったが、今回はお魚まつり会場で総菜や食事をした買い物客に渡された抽選券で行われる抽選会となった。
お魚を一般家庭の食卓へなお浸透させることが狙いのお魚まつり。15キロほどの刺身がもらえるものとなって、なお人気倍増の予感がする、イベントとなっていた。
このほか、久しぶりにお魚まつりにやってきたという女性(60)は、「モズクがないのは残念でしたが、刺身を買ってセーイカがもらえたのがよかった。」と、モズクの1分つかみどりコーナーを楽しみにしてきたと、残念そうに話していた。
(流杉一行)