約150人が星空コンサートを堪能

 10月25日午後7時から沖縄県立石垣青少年の家で秋の星空コンサートが開催された。

この日の日中は晴天に恵まれ、星空を楽しみにする市民が多数参加。約150人が星空の下で、5組の出場者のコンサートと星空観察を楽しんだ。

 兵庫県出身で石垣島に移住して5年目のシンガーソングライターやなせ ひろかずさんは、オリジナル3曲を披露。
 ゆっくりなテンポの「ひとり」、地元の友人の死をきっかけに作ったという初お披露目の「空の上」、最新曲「ロボットサラリーマン」と、ギター一本をつかって3曲を歌いあげた。
 ヘタレバンドで石垣島まつりのステージに出演することも紹介し、見に来てほしいとアピールしていた。

 山本&斎藤のジャズセッションでは、山本ヒロシさんのアコースティックギターに合わせて歌手の斎藤悌子さんが「スターダスト」、「イエスタディ・ワンス・モア」、「オータム・リーブス」、「見上げてごらん夜の星を」の4曲を披露。星空に合った音色と歌声を観衆は堪能していた。

 東政太朗さんは、横笛の横目大翔さんとハヤシの世持麻希さんとともに、でんさー節、月ぬかいしゃ、とぅばらーまを披露。なかでも月ぬかいしゃは白保で歌われている調子で披露され、珍しい節回しに来場者の関心を惹いた。
 東さんは今年のとぅばらーま大会チャンピオンでもあり、聴衆は見事な歌声を楽しんでいた。

 最後は5人組の弦楽アンサンブル「YAEYAMAストリングス」が登場し、「パッヘルベルのカノン」と「コンドルは飛んでいく」「星に願いを」を披露。星空の下で弦楽器の豊かな響きを聴衆は味わっていた。

 このあと、星空観察会が八重山の星の会の本宮信夫さんによっておこなわれ、照明が消されると、来場者から一斉に驚きの声があがり、本宮氏も「すごいですね今日は」と思わず絶句したほどだった。

 星空に向けて強力なレーザーポインターを使い、天の川を紹介。まだ見える夏の大三角形、琴座のベガ、わし座のアルタイル、白鳥座のネネズ、ベガとアルタイルの間に天の川があることなどをレーザーポインターで指して説明した。

 また蛇つかい座の位置にある木星を紹介し、土星がいて座の位置にあり、来年は木星もいて座の位置になることで、木星と土星が並んで見られるようになると説明。

 東の空は秋の空に移り変わっており、秋の四辺形を紹介。ペガサスは秋の星座を見る目安になるとのこと。

 南にはフォーマルハントという一等星があり、秋の星座では唯一の一等星で、南の一つ星ともいわれるとのこと。ペガサスのそばに水ガメ座の水がめがあり、そこからフォーマルハントに水が流れているようになっている。水がめ座は、少年が水がめを担いでいる形で、1月2月の生まれ星座のみずがめ座を紹介した後、やぎ座、うお座、牡羊座を指し示していた。

 次はデネブカイトスの変光星を紹介。暗くなったり明るくなったりする星で暗いときは10等級で肉眼で見られないが、今年は11月17日にもっとも明るくなるとされ、今回は1等級ぐらいまで明るくなるのではという話題が出ていた。

 北の空には、ここにWの形のカシオペア座があり、カシオペアは古代エチオピアの王妃様で、王はケフェウス座で隣にある。この二人には娘がおり、アンドロメダ座という。そのアンドロメダ大銀河がこの日見えているのを紹介。

 観衆らは熱心に移動までして確認していた。ぼやっとした光でしかわからないが、望遠鏡では白いシミのように見えると述べ、「肉眼で見られるもっとも遠いところにある物体です」と述べ、距離は250万光年で、光が250万年かかって進む距離のことで、人類がまだ猿人だった頃に放った光が今届いているというスケール。

 そして、私たちがいる天の川銀河にもっとも近い銀河がこのアンドロメダ銀河と紹介。

 古代のエチオピアの家族が北の空に揃っていることになると述べ、まだ出ていないアンドロメダといっしょになるペルセウスを紹介した時にちょうど流れ星も出て、会場は大いにざわついていた。

 最後にこれからおこる星空のイベントを紹介。前出の11月17日に光が強くなると紹介したクジラ座のミナに注目するよう述べ、その次の日の11月18日には、しし座流星群が来るとのこと。

 来年の6月21日、夏至に日食があり、台湾では金冠日食が見られ、八重山でも太陽が三日月のように極めて細くなってあたりは暗くなるとのこと。

 星の観察会の後は、ストリングスに再登場を願い、皆で「見上げてごらん夜の星を」を大合唱してお開きとなった。

 この日、家族で来場した山里七重(66)さんは、「初めて見に来ました。癒されたし、楽しかったです。青少年の家から見る夜空は町中の明るさに比べて環境が良く、すごく見応えがありました」と喜んでいた。

(流杉一行)

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