3月2日午後7時から八重山青年会議所による市長選挙時における恒例の石垣市長選候補者による公開討論会が開催され、多くの来場者で会場は盛り上がった。
司会は民間フォーラム事務局の児玉克哉氏が、立候補の理由、司会からの質問コーナー、政策の表明、対抗候補者への質問コーナー、有権者へのアピールと、討論会の進行を担当。
討論は、3候補の紳士的な配慮で、司会が困るような脱線するほどの白熱シーンはなく、自身の立候補への意志の由縁を、集まった有権者に真摯に落ち着いた調子で訴えていた。
政策も、争点の自衛隊問題や、経済振興の取り組み内容、環境保全など、それぞれで特段の突っ込んだ激論はなく、大きな枠組みでの取り組みや、細部にわたる手法の指摘など、相手の論点に合わせず、自己の主張の印象を重視して、話は時間の制限に逃げる形となっていた。
いわば、短すぎる討論会と言えそうだ。しかし、実際に細かな内容で追い詰め合うやりとりがあっても、実際に施策を打つ上で、予算の限界は影響するものでもあり、細かな施策内容に関しては、できることは誰がやっても同様で、限られてくることは確か。
ただ、現職は市政を担ってきた当事者で、その財政上の制約に詳しい話がしやすく、そこが目立って、先立つ資金に精通していることを印象づけた。ただ。そこは誰がやっても厳しさは同じで、クレバーに話す現職の調子は、逆に厳しい現実に落胆している市民層には、ドライな印象がぬぐえなかった。
新人の側二人は、現職有利な論争を意識してか、互いに厳しく指摘し合うのを避けた印象があったのは残念。
市議会での議員としての取り組み経験から、これまで実感してきた与党の足らない部分を、上手に短時間で指摘していた。
総じて、討論会は特段に相手候補者を攻める意識は抑えられた印象があった。
「市長に誰がなるか分からないが、市長に誰がなろうとも、石垣市のためになることには、支援したい」という言葉を残して、マイクを納めていた候補者が好印象を得ていた感があった。
ただ、今回の争点が明確になる自衛隊問題のスタンスには、さすがに鮮明に違いが出ていた。現職の争点にしない触らない姿勢と、宮良氏の基地反対と、砂川氏の現在の平得大俣案白紙化により場所を変えて推進と。
わかりやすい争点がそこにあった。誰に有利になったかは、全くわからない討論会となったのは、ある種成功した討論会だったかも知れない。
(有利不利がでない配慮を優先して、抽象的な表現にあえてした。ご了承を)
(流杉一行)