2月6日は、旧暦1月16日。島の伝統行事、16日祭が行われる日で、墓を持つ各家では、この日の準備に忙しいひと時を過ごす。
そして、昼頃から家々からご馳走を持った人が墓に集まり、手を合わせてご先祖様にご挨拶を光景が、お墓の前で見られることになる。
この日に合わせて里帰りする人もあり、後生(あの世)の正月とも言われ、家族が一堂に揃う日でもあり、親戚関係者も顔を出して、お墓に賑わいを見せる。ご先祖様と正月を祝う行事は、八重山、宮古、沖縄本島北部に残っているとされる。
ただ、今回は生憎の天候で、お墓に向かう頃から分厚い雲が空をおおって、雨模様が続き、お墓が並ぶシードー線の北側では、どこも人出がまばらで、コロナ禍で自粛していた時期よりも車の並びが少なかった。
それでも、墓前に花を生けた墓がずらり並んで、小雨になれば駆け付けようと、様子見の家もある模様。午後1時半から2時かけで、雨が上がると車の列が墓地が多い場所に来たが、2時半にはまた雨が降りしきり、残念な天候となっていた。
「今日の昼は靄がかかって、バンナが見えないほどで、ひどかったが、それでも大事な伝統行事だから、皆来ている」
そんな声が聞かれた墓地周辺は、始める家に戻るか、迷う人の様子も見られ、残念そうに空を見上げる人もいた。
この日のユーグレナモールは、観光客が買い物に歩く姿があったのは、16日祭で休む店が少なめで、地元の伝統行事とは背中向きの空気感か。
公設市場では、16日祭でお休みを告げる特産品センター。1階は稼働していた。
バンナの麓の墓地エリアには観光バスが入って、通りすがりに16日祭を紹介するアナウンスが多分あったはず。島の伝統行事を知ることは、島を知ることになる。この八重山で年に一度の光景は、印象に残ることで、島民の暮らしがある島を紹介できる。
そこは、どこにでもある高層ビルのホテルの豪華な回廊を歩くだけなら、東京新宿で十分。それでいいなら、青い海も巨大な写真を用意すれば十分なはず。偽装しないあるがままの島を見せてこそ、愛される。
この日、晴れた午後3時ころも、少ないながらも墓地に車が並んで、殺到しない形で16日祭の墓地での先祖供養が続いた模様。
バンナ公園のエメラルドの海が見える展望台の駐車場で、ひとりの観光客は「今日は、店が開いてないはず。前回来た16日祭の時、店が開いていなくてびっくりした。けど、伝統行事でしょ。大事ですよ。」と、理解あるのはやはりリピータだから。
ただ「今日は、墓地の車が少ないかな」と気になっていた模様。
昼頃の雨模様が、影響していることを知らせると納得していた。
午後4時以降は、家の仏壇での供養で親類が集まることになる。だから、墓地での飲食は昼に済ませるもの。今年は雨でずれ込んで、3時にもまだ車があるのは意外な方だ。
(流杉一行)