7月29日午後5時から石垣島平得の大阿母御嶽で、今年の五穀豊穣に感謝し、来夏世の豊穣を祈願する豊年祭が開催された。平得地区・真栄里地区の2つの地域住民が、時折吹く強い風の中、大阿母御嶽への奉納芸能を見守った。台風接近でも強行された豊年祭は、一昨年に白保で行われた豊年祭以来。
この日は、台風9号の強風が吹き、一時は1時間早めて開催をと取り組むも、台湾方面に去ることが分かると、予定通りに切り替わり、慌ただしい一日となった模様。
神司が「世願い」を披露して豊年祭がスタート。式典挨拶の後は御嶽の前の旗頭は、危険なため取り外し、雨に濡れつつ豊年祭は進行。余興の演目が進むごと来場者も増え続けた。大浜中学校の男子生徒の両地区のイリク太鼓がぐしょ濡れで実施され、平得婦人会の「平得世果報節」は厳かな雰囲気を醸していた。大浜中学生の郷土芸能クラブの「まみとーま」及び石垣第二中学校の芸能クラブの「桃里節」は、全員裸足での演舞で、見る人を驚かせた。このほか数々の奉納の演目が雨脚にも動ぜず続々続いて、ツナノミンの頃には、集まる人の数も増えて、松明の火が台風の強い風で消される懸念もあったが、鎌と大刀を持つ武者が現れると、周囲の人だかりはぎっしり詰まり、会場は最高潮の雰囲気になった。このあと、綱引きがはじまり、長い駆け引きの末、東に凱歌があがっていた。「西が勝っても東が勝っても、豊作間違いなし」と、関係者は台風接近を押しての開催にかかわらず、無事故で乗り切れたことを大いに喜んでいた。
(流杉一行)