7月12日午後2時から石垣市石垣のアートホテル(旧ホテル日航八重山)で講演会「西表島世界遺産自然遺産登録を目指した取り組みについて」が開催された。JTB沖縄が主催し、石垣市観光交流協会、竹富町観光協会、美ら海美ら島募金が共催して開催され、70人を越える観光関係者が会場を埋め尽くした。
講師は、環境省那覇自然環境事務所石垣自然保護官事務所の上席自然保護官の藤田和也氏で、箱根、志摩、上高地の国立公園を巡り、平成29年4月に石垣自然保護官事務所に配属された自然保護官。
この日、世界自然遺産登録に向けた経過と現状を伝え、既登録地の状況を報告して、西表島の世界遺産登録で、どうなるか。メリット、デメリットを説明して、講演は締めくられていた。
メリットの筆頭は、入り込み客の増加。観光軸の産業振興。一方、デメリットは自然の荒廃。増加する観光客目当ての移住者・開業者。商業目当てであれば、既存の島の商業との軋轢も発生する。ゴミやマナーの問題。 今年3月、奄美・徳之島が国立公園化し、昨年9月にやんばる国立公園がすでに指定されているため、これで西表島から徳之島までのエリアで国立公園管理をする国の体制が整い、世界遺産へ向けた取り組みが本格化することになる。
疑問の声はあるようで「国立公園に入っている石垣が抜けているのはなぜか。基地の多い本島北部が入り、花崗岩でなる得意な地勢のオモト岳もつ石垣島が外されている。この地勢は、屋久島と石垣島だけである。しかも、観光客が多数来ることになり、人手不足の島で、なお大量の観光客をむかえる体制を石垣島でつくる話は、外資参入、島外資本の参入にまみれる縮図が予め描かれていないか。」という話は、これまで時折聞かされている。
確かに124万人の観光客が来て、なおもっと来るとなれば、ロットの大きな外資が、低料金で様々なサービスを最新の機材を用意して島に押し寄せてくるイメージがわいてくるのは、記者だけではないだろう。銀行融資の材料に十分なる話だ。
また、植物盗掘や生物の販売など、妙な業者が出入する状況が、尚深刻化しないか。
世界遺産のエリアで取締りが厳しくなって、石垣島では、自然保護の取締りが甘くなるとすれば、世界遺産から外れた石垣島の意味は何か。
自然を守ることを優先して、島民のペースで振興する道を、どう築くか。そこに、観点を変えられないのか。今薦められている観光振興にはどこか無茶なところがある。心配だ。
(流杉一行)