石垣市役所は新庁舎を完成させ、庁舎内1階にいしがき市民食堂をオープンしている。土日は休みの市役所だが、そこに毎週土曜の昼時間だけに開店する食堂が生まれた。
11月27日、午前11時半、市役所新庁舎のいしがき市民食堂で、「こども食堂」が運営をスタートさせた。
18歳以下の子どもたちを対象に毎週土曜日の午前11時半から14時の間を子ども食堂として開店し、こどもは無料。(大人は300円)(メニューは1商品)
これは子どもたちの食育、健康のサポートや孤食の解消を目指し、子どもたちの居場所づくりとしての取り組みだという。
きっかけは、いしがき市民食堂を経営する合同会社石垣島(CEO那覇安彦)が、市民食堂という名にふさわしい活動をと、石垣市との契約が決まった直後から、地域に貢献するべく「こども食堂」の開店を計画。
一般に全国の「こども食堂」の課題は、維持するための資金問題とされる。そこで奈良県橿原市のこども応援チケットシステムの成功例に習って、編み出したのが市民参加型の「みらいチケット」。
食堂では「みらいチケット」と呼ばれる無料で食事ができる券が、店内のボードに張られてあり、そのチケットをこどもが手にしてカウンターで食事の提供を受ける形。この日のメニューはカレーライス。
またその「みらいチケット」は市民が300円を払って、通常の市民食堂の券売機から「みらいチケット」を購入して、ボードに張ることで寄付できるというもの。気軽にこども食堂への応援ができる仕組みになっている。(100円でも寄付可能)
こども食堂の日は、大人でも300円で食事ができ、高齢者も活用することで、子どもらでにぎわう場でいっしょに食事もできることになる。そこは市民食堂にふさわしい光景が具現されることになる。
家族連れで親が大人料金の300円を払い、子どもは「みらいチケット」が活用でき、いっしょに新しい食堂で食事が楽しめる。
子ども食堂が、取引先20数社からの協賛だけでなく、この「みらいチケット」のシステムで一般市民からの支援も受けながら、安定した運営を目指すもの。
さて、この初日は、予めの呼びかけが少なく、石垣市社会福祉協議会などへ告知しただけで、一般に知られていなかったことから、来客が思うほどなかったが、それでもうわさを聞いて集まった市民が、家族連れや友人らで訪れて、新調された食堂でカレーライスに舌鼓を打っていた。
那覇安彦CEOは「地域貢献を目的にはじめることしました」と述べ、「多くの市民が活用することで、こどもへの支援も輪も広がるとうれしい」と期待していた。
金城球二担当は「子どもだけでなく、この場所が市民食堂でもあるので、大人も来やすくしたいです。市民からの理解が深まれば、みらいチケットで協力してもらえることにもなる」と述べ、「こどもだけでなく、ご家族で活用してほしいですね」と、広く市民の活用を薦めていた。
また「こどもは無料ですから、土曜日の学校休みは給食がないので、困っている家庭があればぜひ活用してほしい」とし、「昼の時間帯にこども食堂を開店するので」と、給食代わりの活用が市民の支援で実現することになる。
将来は、広い市民食堂をつかって食育教育イベントも開催する予定とのこと。市民が集いやすい場所でもあり、様々な試みが望める模様。
この日、来店した比嘉貞治さんは、システムを市民食堂のスタッフから教わり券を購入。カレーを食べて、娘の一千香(2)ちゃんは「おいしい」とにこやかに笑顔を見せてくれた。杏弥(35)さんは、素敵なシステムだと思いますと、「みらいチケット」に感心していた。貞治さんも「ゆいまーる精神がでていて、画期的だと思う」と、地域で子どもを支援する仕組みを評価していた。
(流杉一行)
こども食堂は、毎週土曜日午前11時半から午後2時まで。
市役所が開庁している日に営業するいしがき市民食堂の営業時間は、カフェが午前8時から午後4時まで。
食堂が11時から午後2時まで。夜の部が、不定期かつ完全予約制で午後5時半から午後8時まで。
夜の部は11月30日が営業予定。前日の14時まで市民食堂へ連絡が必要(0980‐87‐9848)。利用人数は6名から20名。