軽石が29日に到達か  

 29日に大量の軽石が石垣に到達し、西表は12月上旬に来るという情報を、11月19日、国立研究開発法人海洋研究開発機構(ジャムスティック)が新たなシュミレーションの公開でリリース。

 はじめて、石垣には29日頃に軽石が到達する見通しを示した。これまで沖縄本島の話が多く、八重山の情報は流れてこなかった。

 ジャムスティックの最初のシュミレーションでは石垣へは23日頃とみられていた。

 宮古島には最初のシュミレーションでは11月上旬には深刻になるシュミレーション情報だったが、大量の軽石の流れは予想よりも南下のタイミングが早まって、宮古島に到達せず、その前に南下。先島諸島手前のかなり東で南下したことで、深刻な事態は免れていた。

 この勢いのあとに来た軽石が、新たなシュミレーションでは、20日には宮古島にまぬがれてきた大量の軽石の到達が予測されていた。

 実際に20日、宮古島市城辺福里の浦底漁港に大量漂着。
(宮古島には10月28日頃から軽石の海岸漂着はあり、わずかながら軽石漂着は見られていた。)

 この宮古島の大量の軽石が、29日頃に石垣島北部に到達が予測されている。

 また西側に少し回って、それが西表島に到達する可能性までがでている。

 西表島到達の時期としては12月下旬で、あくまでも予測でしかないが、もし起これば漁業への影響や、石垣港での出入りの船を考えると生活への影響は厳しく、しかも離島への連絡船である離島便が止まると、八重山の離島でのダメージはなお大きい。

 尖閣を守る海保の船舶も石垣港から出ている。

 26日に最大級の海保の巡視船が入港するが、影響が懸念される。

 さて、西表島にまわる軽石の量が少なければよいが・・・。石垣島北部の平久保半島から西へ回り込む軽石が大量だと、船の出入りへの影響はすさまじくなる。西へ回らないために、平久保半島の突端でフェンスの設置が必要ではないか。西へ回れば、石垣港が危なくなる。こればかりは守らねばならないはず。

 11月21日時点では、石垣島北部の海岸ではそれらしい情報はない。

 11月21日には、伊原間の東海岸を覗いてみたが、軽石らしきものは皆無。いつもの穏やかな美しい海が広がっていた。

 (流杉一行)

<11月2日時点の情報>
 第11管区海上保安部によると、11月2日午前11時から午後0時までの調査では、石垣島南部海域から竹富島の周辺にかけては、軽石の漂流はないとのこと。

 この報告は、同保安部のホームページに掲載されている。

 このほか、宮古島の海域に大きな軽石の帯が接近していることを、同海保のHPで確認できる。

 一方で宮古島から発進される民間情報に10月28日に軽石が漂着したというものがある。

 ということは、石垣島も近く軽石の帯の襲来に見舞われる可能性が生まれる。

 もし、軽石の漂着が港に入れば、船が出せなくなり、貨物船も入港ができなくなる。いわば、島の物流が完全にストップすることとなる。それだけではなく、足しげく通う尖閣へ海保の船も、入港ができなくなり、洋上で補給することになるかだ。

 最南端の軽石被害は、遠いだけに相当な影響が出てくることとなる。物資の補給から人員の交代も下手をすればヘリでのものになる。八重山での軽石対策は、相当早めに対処しなければならないはず。

 漁船がまず、航行できなくなるのは、漁業者の死活問題。洋上で船のエンジンがやられると、助にもいけなくなる。漁にも出られず、出ればリスクが相当かかる。マグロ漁がどうなるかだ。

 また八重山のサンゴの分布は、沖縄本島とは比べ物にならない。宮古島と同様に、サンゴ被害は深刻となる。軽石で太陽光が遮られるからだ。これがリーフ内に入って固定されれば、過酷な事態となろう。

 八重山の離島への連絡船が、まず危機に陥る。昔のホバークラフトが恋しくなるというものだ。

 観光客は、八重山の海を楽しみに来るのに、軽石で黒い海を見ることになる。これはかなり厳しい事態となろう。

 ジャムスティック(国立研究開発法人海洋研究開発機構)のシュミレーションを見るとわかることは、おおよそ11月21日頃に軽石は平久保半島に入ってくる。
 11月4日頃から宮古島を軽石の帯は襲い、そのまま南へ降りて、八重山の東の海に降りてくる。それが石垣島の東の沖に縦筋となって、幸運にも流れ去る恰好だ。
 ただ、最後の方の帯が、じわりじわり海岸に近づいてくる。それが到達する最初が平久保で、時期は21日から23日頃。
 しかし、島に来る前に、本流の帯は島の東沖の洋上を南下。宮古島の真南へ流されていく。
 もし、不規則に東風が吹く低気圧や台風が来ればどうなるか。これが怖い。
 この巨大な軽石の帯を避けようとしても、洋上に長い浮きフェンスは張れそうもない。
 
 これがもし石西礁湖に到達すれば、そこは西表石垣国立公園の大惨事。世界自然遺産のダメージである。
 また石西礁湖では一度溜まった軽石は容易に流れ出ない。巨大な天然の湖だからだ。長くとどまれば、サンゴはどうなる。漁業者はどうなる。マリンレジャーは。離島間の連絡船はどうなる。
 今のところ、シュミレーションでは流れ去ることなっているが、それはあくまでシュミレーション。万が一には備えるのが筋。これに向けた特別な配慮を、環境省はとる予定はあるのか。備えているのか。
 
 なお、宮古島へはシュミレーションでは10月31日に入っておかしくない。それが発見の実際が28日だったとすれば、3日違い。石垣島の海岸漂着は18日頃かも。シミレーション通りにあれば、助かるが、そうならなかった時は考えなければなるまい。

 海岸漂着から対応しても、相当な量であれば、リーフ内に入ってしまえば間に合わない。
 もっと、神経をとがらせる必要があるはず。
 
 かくして、一市民、一記者としては、ただ天に祈るのみ。東風は吹かないでほしいと。

 <追記11月5日>
 なんと、5日は早朝から東風である。そして昼から南東の風と、石垣島地方気象台は発表。南東の風は、石西礁湖への侵入の風。

 まだ、現れていない軽石の帯だが、東風が続けば、やがて北東の風になったとき、宮古島から南へ去る予定の帯が石垣島側に引き寄せられることに、なり兼ねない。

 天候次第で、八重山にこれまでにない大惨事が生まれてくることになる。

 気象台の天気予報に要注意だ。環境省も防災関係の機関も、亜熱帯八重山で使える特注の洋上フェンスを用意してほしいところだ。

 あと、降雨が軽石に衝撃を与えて、細かに砕き始めれば、これまたどうなるのか。港は救われても、シルトが発生して海洋環境にも異変が起こってくることにならないか。

 軽石発生と海の関係で、誰か研究者はいないのか。
 
 島としては、今後に起こってくることの正確な情報がほしい。そして安心材料もほしいところ。

 (流杉一行)

この記事をシェアする