8月1日午前9時から石垣市立図書館玄関で新移動図書館車「こっかあら号」の出発式が行われた。
令和2年度で取り組まれてきた新移動図書館車は、ふるさと納税の資金から実現しており、今年5月に稼働する予定が、コロナ禍の影響で出発式は延期されて、この日ようやく稼働となった。
出発式の挨拶に立った中山義隆石垣市長は、「移動図書館は平成23年から軽ワゴン車からスタートして2か所の公民館を一か月で2回の巡回を実施してきました」とこれまでの取り組みを紹介。新たな新移動図書館車の名は、「こっかあら号」で、これまでの巡回ポイントを6か所に増やし、移動図書館は月4回に増加して、図書に触れることができる回数を伸ばしたことを市長は報告して、遠隔地で市民が書籍に触れられる機会を増やしたことを述べていた。
市長は、この導入がふるさと納税を活用して実現したことを述べ、多くの市民に豊かな情報環境を広く平等に供給できたことを喜んでいた。
また、コロナ禍からの自粛への対処の一助として、国の臨時交付金を活用して、書籍を購入。約2500冊を用意して、移動図書館の中身を充実。
久原道代図書館長のこっかあら号の説明の後、こっかあら号の左右のサイドプレートをオープン。ぎっしり並んだ書籍が現れ、後部からは内部へ靴を脱いで上がれ、車内通路の両側に書籍が並んで、まるで簡易図書館。装備の充実ぶりを披露していた。(内部は冷房完備)
このあと、こっかあら号は市立図書館を出発。島を東回りで伊野田公民館、明石公民館、平久保公民館の順で巡回を実施した。
こっかあら号の巡回は、毎週日曜日に稼働し、巡回ポイントでは1時間運用。第一・第三日曜日は東回りで伊野田公民館(9時40分から)、明石公民館(11時30分から)、平久保公民館(14時から)の順で巡回。第二・第四日曜日には西回りで下地公民館(10時から)、川平公民館(13時から)、崎枝公民館(15時から)の順となる。
走行中のこっかあら号は、外装部に熊谷溢夫さんの絵が描かれており、「こっかあら号 石垣市図書館」と表示もあるのですぐにわかる。到着を知らせる音楽も鳴るように配備されている。石垣市立図書館内の書籍の検索もできるようにパソコンも用意されており、CDの貸し出しも可能となっている。
このこっかあら号の命名は、石垣市立図書館の子供向け広報誌が「こっかあら」であったことで決まったとのこと。
夏鳥でお馴染みのリュウキュウアカショウビンの方言名が「こっかあら」で、きれいな鳴き声から幸福を運ぶ鳥とも言われているとも。
書籍との出合いを導く移動図書館車だとすれば、この車の名前にふさわしい命名かもしれない。車の外壁には、読み聞かせの光景が熊谷氏の独特なタッチで描かれている。
スマホ万能化に、AIとデジタル化が進むどこか孤独な世相だが、人として忘れてはいけないものを示しているようで、この車の移動自体が図書の重要性を宣伝していることになるかも。
なお、この移動図書専用の車として特注したこっかあら号は、最大積載量3トン、最大積載書籍冊数2500冊。31年前に建設された石垣市立図書館には、建物内に移動図書館車の車庫が用意されており、その収納サイズに合わせての特注で、全長4・49m、全幅1・85m、全高2・5mのサイズは市立図書館の建築物と一体感がある専用車といえる。(約1300万円)
(流杉一行)