2月26日からはじまった石垣市役所玄関前の野菜市場が盛況になっている。
その名も農産物消費促進事業「ゆいマルシェ」。
3月26日までの一か月間、月、水、金の週3日のペースで午前10時から12時半までの2時間営業。地元農家が飲食店、ホテルなどへ卸すものが、臨時休業や時短で注文がなく納品先のない野菜に対処するべく取り組まれたのが、この市場だ。「マルシェ」とフランス語で「市場」の意味。若い人向けの新感覚で開場している。
初日の2月26日は50分で、3月1日は1時間半で完売を実現。人気が沸騰している。
これまで9業者が参加。一日出るのは6業者に絞られ、3月3日は、スーナ農園、新里ファーム、へんな野菜をつくっています、幸本バナナ農園、大城農園、白保の大道さんが出店。
カボチャ、インゲン、プチトマト、パプリカ、シマバナナ、ゴーヤ、キャベツが驚く安値で販売されていた。
基本、農家はマルシェの場所に無人販売で野菜を配置。市職員が見守る中、購入する人はボックスにお金を入れて品物を購入するパターン。いわば無人販売。そこは収穫に追われる農家には、販売には不慣れ。見事な野菜を作る腕のいい農家も、直に消費者に接するのは「難儀(なんぎ)」の一言。この日は、そんな農家の支援に、農家の親戚が売り子になって、販売をしていた。
「一般のお店に並ぶものは、店に並ぶまで日時がかかっている。それにくらべてこのゆいマルシェは畑直送だから、品物が全然違います」と、上手なアピールぶり。
この日の並んだ野菜類、特にトマトやプチトマトは、色が違う。獲れたてということは、畑で見られる姿そのままの野菜が来ていることになる。
元来、遠くに送る品物は、出荷用として店舗に届く頃が熟している計算で、少し青い内に収穫する。このトマトはそれとは違い完熟の状態。まさに、地元ホテルや外食、飲食店用の品に近い。
この日は、通常の倍の生産物を並べたという新里ファームの売り子さんは、「今日は欠品しないように、たくさん持ってきました。」と、張り切って販売をしていた。
野菜の表示版を手書きの絵で書いて、趣向凝らして販売。「どうです。キュウリそっくりでしょう」と、お客さんと会話を弾ませての、和やかな販売ぶり。
この日、10時半から11時半が最盛期で、次々に、あまり密にならないように来店する市民は、決めていたように、目的の野菜をすばやく選んで、去っていった。
値段も100円から200円ほど。量を多くしたものは500円で販売するものもあったが、100円や200円ものが多かった。
マルシェで購入したお客の1人は、「トマトがおいしかった。大きく新鮮で、しかもただの新鮮さではない。中が全然違う。もぎたてのトマトといった感じ。」とのこと。
ほかの野菜でも「島でこんなおいしい野菜がとれていたなんて」と驚いたという声もあった。
どうやら人気はうなぎ登りの模様。金曜ともなれば、また土日も近いこともあり、こうなれば業者が買いに来るかもしれないのが、ちょっと気になるところ。
是非、一般家庭が島の野菜の進歩ぶりを知るためにもお薦め。このゆいマルシェは「一見の価値、大あり」といったところ。
(流杉一行)