2月27日は、旧暦の1月16日。島の伝統行事16日祭の日で八重山各地の墓所が賑わう日でもある。晴天に恵まれたこの日、午前中から墓所へ向かう多くの車の往来が見られて、いつもは寂しい沿道に車の駐車の列が数多く見られた。
後生の正月とされており、毎年、亡き人と家族が揃って食事を共にする日だが、今年はコロナ禍で県の緊急事態宣言下でもあるせいか、人出が少なく、墓所での飲酒も見られていない。
土曜でしかも16日祭ともなれば、帰省する人も増えがちだが、今年はそうもいかない模様。
集まり方は、時間を早めたり、墓所に来ても花を生け、線香をあげ、祈願だけを済ませて、家で食事する人もあるようで、「お隣はいつもいるのに、今年は早くに来て、帰ったみたい」と、それぞれ配慮しての家もあったと、いつもより静かな16日祭に今年はなっていると感じる家族もあった。
「今回は、密を避けるために、時間を決めて、来れる人で簡単に済ませて、食事は家でやることを決めました」そういう男性もいて、コロナへの配慮を優先する人も出ていた。
時間をずらすなどの配慮をする家族もいくらかあったとしても、やはり自粛が長いこともあり、親族ぐらいは集いたい16日祭。やはりこの日の午後2時近くには、信号での車の列が破格に長くなるなど、午後の込み合う様子は、致し方ないことかも。
多くの人は恒例の伝統行事でもあり、料理を用意して墓所に集まっていた。
友利スエ子さん(80)の墓所では、6人の親族が集まる中、スエ子さんが直に気持ちを込めて切り花を生けるなどして準備を進めていた。花が祭壇にお供えられ、墓前に広げられた料理を前に、大人も子供も、ゆっくりとひとりひとり線香を立てていた。
最後にスエ子さんの合図で、皆一斉に手を合わせた後、車座になって、先祖との会食を楽しんでいた。
1月上旬からはじまった緊急事態宣言は2か月に及んで、長い自粛疲れは否めないところ。
この日、お墓を行きかう人同士、親戚や友人とも声をかけ、時にそれぞれ紹介し合う光景も見られた。しばらくぶりの再会を喜ぶ様子が、いつもより話し込んでいるように見て取れたのは、コロナ禍の影響があるかも。
(流杉一行)