8月31日、午後3時頃、台風9号が東約300キロ以上離れた洋上を通過。瞬間最大風速が秒速70mとされる非常に強い台風が、真っすぐ宮古島と沖縄本島の間へ向け北上を続けた。
台風が発生すると起こる風が、30日ころから八重山では感じられたが、停滞することが長かったせいか、油断しそうな台風9号。
というのも、動き出すと時速25キロで北上すると気象台の予報に出ており、4時間で100キロ。1日で600キロ動く70mクラスの台風となれば、危険極まりない台風。(実際は、八重山の近くではそれほど早くはなかった)
それが、八重山の東を通過。八重山は台風の暴風域にも入らず、事なきを得た模様。
2020年のこの八重山への2度目の台風襲来のタイミングは、旧盆と重なり、3日前の金曜日から八重山入りする帰郷者と、台風対策と旧盆の買い物などで、石垣市街地はコロナ禍の下としては多めの人出を生み出した。
新型コロナの影響で旧盆の帰省を控える人も出たが、思い切って戻る人や、竹富町から買い物に石垣入りする人も多く、石垣島の大型販店の駐車場には、いつにない慌ただしさが蘇っていた。
そう、台風襲来はまず離島が荒れた海で封印される。その前の買い出し熱は、台風時期の風物詩だ。これに旧盆が過熱。
早い時期からインターネットで台風9号の発生とその動きを知る人は、早めに対処しての台風対策が見られた。
この時期、中元商戦の最中でもあり、島の事業所は8月31日から9月1日以降に送付するお中元は、早めの送付を案内。厳しい新型コロナの経済環境下で、台風対応、中元対応、また旧盆対応と、多忙な時間を過ごすこととなった。
この間、旧盆行事のアンガマ、エイサー、獅子舞が、新型コロナの3密回避の対応から、中止や縮小無告知開催など、これまで経験のない対応を迫られる伝統行事保存会関係者の慌ただしさはない。それでも、縮小規模で仏壇に集う親族の盆行事が、各家庭で行われて、コロナ禍で味わう、旧盆のウンカイの日となっていた。
八重山ではこれまで何度か瞬間最大風速70m級の台風の接近の恐ろしさを経験している。風速不能となって最高値が70mだった時代が、何度かあったからだ。正式な数値として残っていない時代があるのだ。
あれから風速計が改善され70mを越す計測があってから、このクラスの台風が八重山に近づいてもそれることがなぜか増えている。しかし、経験ある八重山には、接近の知らせから気になってくる。
2006年116本の電柱を倒壊させた台風13号は、西表島で69.9m、石垣島でも67mを記録。島の8割が停電となった。ガラスの割れた車が大量に走る島となり、復旧にはまず沖縄本島から電柱の大量送付が必要だった。
70m級の台風が近くで発生することは、八重山はこの悪夢のような台風を思い出させる。
これが今回、新型コロナと旧盆に重なった。3重の不運。
今、台風10号が太平洋上に発生する予測(インターネットのWINDYから)が出ている。これが本土に直撃するのが6日頃。40mクラスだが、水害がまた打撃となる。本土や沖縄本島が被害に遭えば、島への物資の流通が厳しくなる。
次なる台風禍が迫る日本。コロナ禍に加えてのダメージ増大が予測される。人類への大自然からのコロナ攻勢に、台風のローカル攻勢。
この2重の攻勢に、日本は晒されている。
一隅(いちぐう)ごと英知が必須だ。
なお、10号は9月6日に九州方面へ向かい、本土各地へ豪雨をもたらしている。
中心付近の瞬間最大風速70mのを予測しながら進む台風の怖さはない。午後9時現在では九州で150万人が避難している。
2020年のコロナ禍の日本は、8月31日から9月6日の間、70m級にまでも怯えさせられる事態となっている。
(流杉一行)