6月24日はユッカヌヒ(旧正月5月4日)。
新型コロナウィルスの影響で中止が決まった石垣市四か字ハーリー(職域ハーリー、マドンナハーリーなどの一般参加ハーリーが中止)は、伝統行事のハーリーも5月16日に中止が決定。一方、祈願は実施された。
この日、早朝から石垣市冨崎にある冨崎観音堂に、中西の各ハーリー組合役員らによる祈願が行われていた。
この日、午前6時に西組(末吉正和委員長)の3名の役員が祈願に訪れて、線香を並べて祈願していた。(中二組の祈願は、かなり早く、見逃してしまった)
その後、中一組の漕ぎ手(シンカ)11名および鉦を打ち役の子供と、役員ら約24名が冨崎観音堂に集結。賽銭箱を前に手を合わせた後、堂内にて線香を添えて祈願を実施。大漁操業に、航海安全と健康祈願を参加者全員で、神酒を回して祈願していた。
毎年、ユッカヌヒには役員だけでやる冨崎観音堂での神事を、中一組では今年は特別に漕ぎ手もいっしょに祈願。「これはこれまでにないこと」と、中一組委員長の西里晃さんは言った。中止となったハーリーへの思いを、祈願に割いての取り組みの模様。
午前8時過ぎにはすでに中二組が、新栄船着き場(例年実施されているハーリー会場)に爬龍船を・・・。
中一組も打ち鳴らされる鉦の音と共に海に運んで浮かべ、しばらくして西組も登場して3艘が勢ぞろい。
船足を進める3艘は、各艇が独自なタイミングで一斉に水面を漕ぐエークの動きを見せ、ゆったりとスネー(舟揃え)を実施。
スネーがおこなわれると聞いて集まった市民は、祈りを込めたエーク捌きに見とれていた。
今年移住してきたという女性は、「四か字ハーリーを見に来たのは初めてです。コロナで見られなくて残念です」と、残念そうに船の様子に見入っていた。
模合仲間と毎年、職域ハーリーに参加している60歳男性は、
「残念です。ハーリーの後の一杯が最高で・・・。来年は出られるかな」と、年齢が気になると寂しそうに話していた。
この日、スネーを終えたシンカの一人は「ハーリーの中止は残念でしたが、スネーができたのはよかったです。厳かな雰囲気で漕げました。御願ハーリーまでできればより良かったのですが・・・」と、晴れやかな表情で語っていたのが印象的だった。
新型コロナウィルスが与える影響は、漁業者の海神祭にもおよび、今回、スネーまでしか漕げないハーリーとなった。航海安全と大漁祈願は、大海原を相手に仕事をするウミンチュには大事なこと。
八重山の豊かな大自然では、今回のコロナ騒ぎでいろいろ自粛させられても、血の通った祈りがきっと復興を支えるはず。
(流杉一行)