規模縮小で日本最南端八重山の海びらき 負けずに「頑張ろう」

 3月14日午前9時半から石垣市川平の底地ビーチで日本最南端八重山の海びらきin石垣が開催された。

 開会30分前の9時からは川平の神司3人による海びらき祈願がおこなわれ、海岸に3神司と、八重山ビジターズビューロー中山義隆会長(石垣市長)、同副会長の西大舛高旬竹富町長、同副会長の外間守吉与那国町長、石垣市観光交流協会大松宏昭会長、竹富町観光協会西表晋作会長、与那国町観光協会崎元俊男会長、高嶺善伸川平公民館長の7人が正座して、約30分間、海へ向かっての今年1年間の安全祈願をしていた。

 このあと八重山ビジターズビューロー副会長の外間守吉与那国町長が開会の挨拶に立ち、新型コロナウィルス拡大のため、イベントを縮小しての開催となったが、負けずに盛り立てましょうと、呼びかけていた。

 主催者挨拶では、中山義隆八重山ビジターズビューロー会長が新型コロナウィルス感染症対策ため、国・県の方針を踏まえて、関係者のみでの開催となったこと述べていた。

 また、昨年の八重山への入客数は年間148万人と、最高を記録したことに触れていた。

 この日は八重山の海の安全を祈願し、第41代ミス八重山を発表するとともに、「新型コロナウィルスの一日も早い収束を願い、全国の観光地に活気が戻ることを願って、この川平から全国に「頑張ろう」の気持ちを伝えて、海開きを発信したい」と述べていた。

 祝辞では、宜野座葵県八重山事務所長が玉城デニー知事の挨拶を代読。

 来賓祝辞では、沖縄県観光コンベンションビューロー下地芳郎会長が「逆風を追い風に変えるのが、沖縄の観光のこれまでの実績」と述べ、「全世界に元気を届けるのも、海開きの役目ではないか」と海開きの意義を高めていた。

 このあと、ミス八重山による海開き宣言が実施され、「いよいよ 海を楽しむ季節が川平にやってきた」と底地ビーチから日本全国および世界にむけての海開きを宣言を実施。本来は、川平小中学校の生徒が宣言するところを、コロナウィルスの拡大から宣言するのはミス八重山へ変更。

 かくして、海開きのテープカットが初泳ぎ者ゼロで実施された。参列者の紹介と写真撮影を終えると海に向かってテープカットが行われて、浜には100人ほどいるものの、海辺には泳ぐ人ゼロの海開きとなって、強い風の中、波音ばかりが響き渡る海開きとなっていた。

 このまま実施されたのはTシャツデザインコンテストの表彰式で、最優秀賞に輝いた國嶋千賀子さん(47)と、そのTシャツが登壇。

 国嶋さんは、表彰を受けて挨拶し「心から海の安全を願っています。」と言い、「ここ底地は木陰があっていいビーチだと思う。なにより素晴らしいと思うのは、八重山の自然で、私自身海洋ゴミなどの問題を見るにつけ、マイボトルをもつなどの取り組みも、やっていきたいと」自然を大切にしたい思いを披露していた。

 國嶋さんは、10年前に埼玉県から移住して、一時は勤め先で3年ほどデザインを担当。そのキャリアを生かして応募。見事、最優秀賞を獲得となった。

 「夏の訪れ」が作品テーマに指定されており、國嶋さんは日差しの強さとテープカットをイメージさせて作品を仕上げたとのこと。

 花王株式会社から、今年2月は発売されている新商品「ビオレUVキッズ」で、子供用の日焼け止めが、この日、3市町と八重山の全小学生に贈られることとなり、その贈呈式が実施された。

 日焼け止めには、オキシベンジンやオクチノキサートなど、サンゴの白化現象を引き起こす化学物質があることで、ハワイでは使用が禁止されるている。

 この成分を含まない日焼け止めとして発売される子供用の日焼け止めが贈られるもので、その後、ぬりぬり体操が披露され、子どもが日焼け止めを楽しく塗れる体操で塗った後に乾かす動作も入っており、会場は風が強い浜辺ながらも和やかなムードに包まれていた。

 この後、第41代ミス八重山の発表が行われ、ミス南十字星に石垣楓さん、ミス星の砂には掘井紗らさん、ミスサンゴには新里穂乃花さんが呼ばれて檀上に登場。第40代ミス八重山からタスキが贈られ、引継ぎが行われたあと、今度は第41代ミス八重山から花束が贈られていた。

 一年間の観光親善大使の任を全うした第40代ミス八重山らが会場に挨拶を披露。

 このあと第41代ミス八重山に認定証が中山会長から手渡され、それぞれが抱負を述べていた。

 ミス南十字星の石垣楓さんは「個性的な島々の魅力を五感を通じて学び楽しみつつ、新たな発見をしていきたいと思う」と述べ、ミス星の砂の掘井紗らさんは「八重山諸島は、多様な文化や貴重な動植物にあふれるとても豊かな場所です。これまで培ってきた海外経験を活かし、国内のみならず海外へも八重山の魅力を発信していきたい」と語り、ミスサンゴの新里穂乃花さんは、「八重山の様々な文化や魅力を明るく楽しく発信し、ひとりでも多くの方々に八重山を知ってもらえるように努力していきたいと思う」と話していた。

 新型コロナウィルスの拡大のため、このあとの演舞、ミニライブ、お笑いライブなどは、すべて中止。

 今回、関係者だけの海開きとなったが、だからこそ、観光の在り方の考えを、再考する機会でもあるように思うのは、記者だけか。

 新型コロナウィルスは、サーズ、マーズに次いで3度目。3度あればまだ起こりえる。

 一度目で、今回の事態を予測できなかったのは、実に残念。2度目でも何ら対応は考えなかった。

 ましてや、罹患しても症状が出ないまま、感染源になって広めてしまうという、考えられない性質のウィルス菌。

 体力ある人は被害が少なく、既に病気を持つ人を重症化して死に至らしめる。高齢者は特に厳しい。陽性反応が陰性になっても、復活して陽性に戻ることもあるという。また健康な若い人に関心が薄くなる傾向も持つ。

 扱いが難しく、人間の側に都合悪くなる性格の菌だ。よくぞ、こんな菌が自然に生まれたものだ。

 世界との運命共同体ぶりを、今回の新型コロナウィルスで、感じないわけにはいかない。

 であれば、完全自由な渡航が可能な状況は、喜べるとは言い難いということ。旅に出た時にどんな危険なウィルスの発生で母国への道を絶たれるかわからないこと。今後は、すべて命がけの旅行となろうか。

 世界が自由な渡航を可能にして、ひとつになるのは、このウィルスとの闘いを前提として、国境管理を工夫しなければ、同じことを繰り返すことになる。

 外貨獲得手段にインバウンド旅行者を想定することは、果たして採算が合うかも、今一度再考する必要があるのでは。より高度な内需拡大装置を備えるべきでは・・・。

(流杉一行)
 

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