5月19日午前9時から石垣市中央運動公園総合体育館メインアリーナでダーツの大会が開催された。
全国からプロとアマが一堂に会して競技するJETと呼ばれる大会で、この日の前日には、同会場で「PERFECT」と呼ばれるプロの大会(1年に35の大会が全国で実施されている)がおこなわれ、全国から真剣勝負のダーツ大会が繰り広げられた。一等賞金が100万円の大会で、カテゴリーはPT200とされるもの。(PT300、PT200、PT100 と3つのカテゴリーがあり、賞金も変わってくる。)
一方、この日のJET大会は、前日のプロが集い緊張感あふれる雑音のない大会とは対照的に、プロとアマが交流しながら、ダーツを楽しむ大会で、ペアになって競うダブルス戦と、個人戦トーナメントの2種類が行われた。
ダブルス戦は、実力に合わせて5つのレベルで競い合うディビジョン方式。実力にあった対戦相手となるため、競技に力も入り、また互いに交わす言葉も弾んだものになって、会場は音楽が流れ、ビールを飲みながらの賑わいあるなかでおこなわれていた。
ダブルス戦の参加者は330人で、5つのレベルに分かれ(ディビジョン)、レベルの高い1ディビジョンから順に5ディビジョンまで設けられ、ディビジョンごとに4チームで1ブロックとし、7から8ブロックのチームが総当たりで競技を実施。
その1位と2位が決勝に勝ち進んで、そこでは勝ち抜きトーナメント戦となる。
総当たり戦あり、勝ち抜き戦もありで、ゲームの多さは破格だが、実はこのダーツ、デジタルソフトダーツマシンで実施され、投げるダーツはプラスティック製。
刺さると自動で採点されるもので、その場で点数が表示され、勝ち負けも一瞬で表示される。近年、ダーツの世界はこの機械の出現で爆発的にダーツ人口が増えたとされている。
ボーリングのように、機械がスコアを自動に出すようになった形だと、関係者は述べていた。
かくして、会場に居並ぶデジタルソフトダーツマシン42台はフル稼働で競技を進行。プロの競技も身近に見ることができ、島のダーツ好きには見逃せない大会となっていた。
この日、石垣島ダーツ協会(久原会長)によると石垣島のダーツ人口は100人ほど。ペアチームを日ごろ組んでいない人のペア競技への参加のため、チーム構成するのに苦労したとも。大盛況の影に、見えない苦労も。
この日、午前から行われたダブルスの予選が終わると、午後から本選のトーナメントが始まるとともに、女子の個人戦もスタート。ダーツマシンのフル稼働で、午後5時頃にダブルス各ディビジョンの決勝戦が行われた。
ディビジョン5は石垣島から出場の松鵜大健・佐藤彩姫組が優勝。「石垣島で行われるISDAリーグでセットアップ代表で出場しているので、優勝できてホッとしている」と、佐藤さんは涙ぐみつつ、喜んでいた。
ディビジョン4は、「チームDO」を名乗る新里成人・慶田盛均組で、「4年前からはじめて、慶田盛氏に教わって徐々に成績を上げてきた。今回、優勝できてうれしいです」と、新里氏はトップになれたことを喜んでいた。
ディビジョン3は、石渡涼太・小杉香緒里組で、東京から参加の石渡氏と静岡から参加の小杉氏。ゲームごと「いいよ」と、互いに声をかけてフォローしたのがよかったと、連携して勝ち進むことの難しいダブルス競技でトップになれたことを喜んでいた。
ディビジョン2では、砂川高輝・福井和希組が優勝。ダーツ愛は誰にも負けないと豪語する砂川氏に、福井氏が「是非、砂川さんに優勝をと、全力で戦った」と、見事に優勝をプレゼント。砂川氏も優勝直後に涙を見せるほど、心打たれて涙をぬぐうほど喜んでいた。
ディビジョン1の最高ランクの戦いは、男女の個人優勝が決まった後に実施され、会場は大いに盛り上がった。
そして、勝者は西鉄平・城野弘樹組が勝利。鹿児島出身で福岡から出場の西氏と佐賀の城野氏でダブルスを組み、九州のリーグでは一昨年に勝利しており、昨年は第2位。
優勝経験のある名コンビペアでもあり、今年はJETで優勝できてうれしいと述べていた。ちなみに西氏は九州エリアの2019年PERFECTランキング2位の凄腕。
個人の女子優勝は、沖縄本島から出場の大城明香利さん。「沖縄大会で勝ててよかった」と、勝利を喜んでいた。
聞けばJETの大会には出場ごとに優勝とのこと。実力者で、決勝戦の勝ち方も余裕の勝利だった。2019年沖縄エリアでPERFECTランキング1位、総合連キングでも5位とこれまだ女性にして凄腕の選手でした。
個人男子の優勝は、終盤に大逆転で勝利を手にした城野弘樹さん。勝利した瞬間、負けたと思ったから・・・と、対戦相手の市川勇太氏と握手をして健闘を讃えていた城野氏。
最終ゲームの市川氏、48点で残る3本で楽に勝利が決まったと思えたところ、突然乱れて16点。一本で50点を何度も出していただけに、なぜここで? 場内からはどよめきが起こった。
そして28点を残す城野氏は難なく0点にして優勝を決めた。勝因を聴けば、一旦あきらめた後の優勝だけに「もってるね」とガッツポーズで喜びを炸裂。ダーツの勝敗は運も左右することがはっきりわかった戦いだった。
この日、石垣島出身でプロの資格持つ伊良部昌貢さんにダーツの魅力を聴くと
「ダーツは老若男女が楽しめるところが魅力です。誰にもできるダーツですから、それこそ小さい子供でも、お年寄りでも、皆いっしょに競技を楽しめて、ゲームを通じてコミュニケーションも深まります」と、ダーツの可能性を語っていた。
(流杉一行)