日本版DMOとは~?なぜ今八重山圏域にDMOが必要なのか

 12月7日午後3時からANAインターコンチネンタル石垣リゾート真栄里の間で、八重山ビジターズビューロー主催の観光講演会が開催された。

 これは八重山圏域が持続可能な観光地としてあるために必要なことを考えようと、開催されたもの。

「日本版DMOとは~?なぜ今八重山圏域にDMOが必要なのか」と題する講演会で、国土交通省観光庁観光地域振興部観光資源課課長補佐の太田雄也氏によるDMOとは何であるかを述べる詳細な講演がおこなわれた。

 この日、会場には観光に限らず幅広い八重山の業界関係者約50名が参加。

観光交流人口増大の経済効果と題して、少子化・人口減少に見舞われる日本の将来を、外国人の観光や国内旅行者で埋める発想で、一人の人の年間消費を125万円として、一人減少分が外国人観光客8人分で補填でき、国内旅行者であれば宿泊25人分で、日帰り80人分との経済効果の算出を紹介。

奇抜なマーケティングの発想を紹介しながら、外国人観光客数の伸びや、それがアジアの外国人が約85%を占めていること、また都道府県別の外国人の宿泊数などが紹介されて、日本での観光全体の実態を詳細に説明していた。

 また観光の取り巻く現状と題して、観光庁が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で、訪日外国人旅行者数の目標を2020年までに4000万人にし、また同様に同消費額は8兆円、地方部での外国人述べ宿泊数7000万人泊、国内旅行消費額21兆円との目標が建てられたことを示していた。

 日本の観光戦略を紹介する段では、観光先進国をめざして、観光資源の魅力を極め、地方創生の礎にし、また観光産業を革新し、国際競争力を高めて、我が国の基幹産業にと、大きく振りかぶりつつ、すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境をと、新たなビジョンの視点を示していた。

 そのあと、今回の中心テーマである、DMOに関する取り組みの現状が話された。

 DMOとは、ドメスティック マネジマント/マーケティング オーガナイゼーションの訳で、観光地域づくりの舵取り役となる法人のことを指す。

観光地域づくりの農林水産業や地域住民などの巻き込みや、来訪者の継続的なデータ分析の不十分さなど、様々に抱える課題を、このDMOを各地で形成・確立することで、地域資源を最大限活用して効果的・効率的な集客を図る「稼げる」観光地域づくりを推進して、観光による地域創生を実現するとするDMOの位置づけを説明。

このあと観光庁が実施するDMO登録制度の説明や、DMO登録候補にある八重山ビジターズビューローを含む208法人が、DMO登録の5要件を満たすことで、今「候補」外しの真っ最中。

すでに86法人が7月30日時点で登録に至っている。このほか、DMOの優良例を紹介。国の側での情報・人・財政の支援策の説明もおこなわれていた。

 最後にDMOになった先には世界水準のDMOへの登録も想定されつつ、また具体的な構想は話し合い段階。その内容を識者ごとの意見で紹介するなどしていた。

 この日、集まった人の中には、これまで八重山でDMOについてレクチャーしてきた山田桂一郎さんの「いかに地域振興へ結びつけるか」に重きを置いた講演との違いに、戸惑う人もおり、大きなくくりの中のDMOの位置づけを再度聞かされて、期待外れに感じた人もいた。

 感想を聞くと「何か、元に戻った感じがして・・・」「山田桂一郎さんが八重山で講演していることを知らないのかも・・・」と、詳細にDMOの内容を復習できたのはよかったが、具体的な八重山の側の取り組みに役立つ情報を求めた人には、少々役不足だったかも。
 

 (流杉一行)
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

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