第5回おきなわ新喜劇ツアー「心がつなぐアロハイサイ!」が11月28日午後7時から石垣市民会館大ホールで公演され、チケットは完売で、会場は立ち見が出るほどの大盛況なツアー最終日を迎えていた。
アリンクリンによる漫才とシンガーソングライター「カワミツサヤカ」のステージのあと、市内のハワイアンダンス教室の舞台が披露され、会場は華やかな雰囲気に包まれていた。
おきなわ喜劇の幕が上がると、おなじみの本格的な喜劇セットの登場で、微かにどよめく空気が会場に現れていた。
2年前の石垣公演では台風接近でセットが届かなかっただけに、この島での初生披露のセットはある種良いつかみになった模様。
両親が亡くなり、改装したてのホテルかわだで、川田と宝眞榮が扮する兄妹が記者を呼んで宣伝を依頼するも、やってきたゴリ扮する旅雑誌ゴリセクシー記者や、妹に恋して3か月間連泊する客(ありんくりん比嘉)の登場に、祖母を探してハワイからきた日系5世の姉弟(ありんくりんクリス、田仲メリアン)が加わって、恋愛争奪も起こるドタバタ喜劇。(普久原明、仲地智子、宮川たま子らも出演)
テンポよく笑いを誘うキレのいい展開力に、方言を交えた一体感持てるシーンの数々で来場者を魅了していた。
戦後の沖縄の焼土に向け、ハワイに暮らすウチナーの日系人が、貧しい中も皆でお金を出し合って豚を550頭送って、沖縄を支援した話を語るシーンもあり、史実だけに重みを与えて、笑えるだけでなく、深い人情の機微を添えて、意義深い物語に仕上げていた。
地元きいやま商店が出演するなど、劇に地元色も添えて、アドリブも入るたのしい舞台となっていた。
公演5日前の23日、ホテルの料理長役の福田加奈子さんの突然の急逝で、急遽抜擢された宮里良子さんの演技は、特別なものがあった。短い時間での劇の把握に加え、長台詞の入る重要な役まわりとあって、一発勝負的に、うまくドタバタを同化させた名演だった。
(流杉一行)