台湾入植者の豊年祭「土地公祭」が開催 <2018>

 9月23日午前11時から石垣島名蔵の名蔵御嶽で土地公祭が開催された。

 これは、華僑八重山分会(湯川永一会長)が主催する台湾入植者による豊年祭に当たる行事で、台湾全土で実施される旧暦8月15日の伝統行事。

戦前、農業入植者として台湾から島に来島した当時の台湾人が、精神的よりどころの大切さを思い、名蔵御嶽の関係者に御嶽での土地公祭の開催の許諾を得て、以来、毎年旧暦の8月15日に、土地公祭を開催してきた。

 日本国内では農業入植による台湾人の集団帰化は、石垣島以外にはなく、土地公祭が実施される場所は、この名蔵御嶽だけのもの。

台湾入植者は、パインなど農産物の導入、水牛の導入など、八重山への貢献度が高く認められており、台湾八重山親善交流協会も設立され
ている。

この日は島の台湾八重山親善交流協会の会員6名と沖縄本島から同会沖縄支部(宮野照男支部長:大川出身)の4名が、土地公祭に参加。沖縄支部からは、宮野氏の三線による鷲の鳥節、とぅばらーまが披露され、島流の奉納も行われていた。

 土地公祭は通称「ブタまつり」とも呼ばれ、豚を奉納する光景が異彩を放つ祭りと知られている。

台湾全土で実施される天の神に祈願し、土地の神に祈願する農業祭事で、福徳正神の背後にたくさんの供物を盛り、まず最初、福徳正神の背後から天に向かって祈願。

この時は、豚も天へ向かってお供えする。参加者一同が、天への祈願をして、福徳正神の前に線香を備えた後、今度は、豚を名蔵御嶽の方角へ向きを変えて、福徳正神の前に立って、土地の神である福徳正神への祈願を実施。天と土地の神に祈願することが、この祭りの特徴で、これが台湾全土で旧暦8月15日に実施されているとのこと。

 今年は、同分会の決定で旧暦の8月15日の一日前の開催となったが、昨年は台風の襲来で中止となり、各家庭での開催のみとなって、待ちに待った開催となったが、運動会と重なる家庭も多く、華僑八重山分会からの参加者は30人程度。

しかしながら、親善交流協会も加わって和やかな中での開催となっていた。

 この日は、台湾大学の女子学生が取材に参加して、石垣島で開催されるこの土地公祭をレポート。卒業論文としてものにしようと、熱心に調査をしていた。「台湾で実施される土地公祭と内容は同じです」と、異国での台湾文化の継承を確認していた。ただ、一点、「豚はもっと大きいです」と、そこは本場との違いも付け加えてくれた。

 王滝志隆さんは「八重山毎日新聞の元記者の松田さんの影響で、続々大学生がレポートに来るようになっている。うれしいことです」と、述べていた。

(流杉一行)

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