7月19日、石垣島西部の川平で豊年祭が開催され、八重山における豊年祭シーズンの幕開けを告げた。
川平にある群星御嶽、山川御嶽、赤イロ目宮鳥御嶽、浜埼御嶽の4つの御嶽の氏子らが、今年の五穀豊穣を神に感謝するとともに、来年の豊饒を祈願して、各御嶽の境内に集い、それぞれ持ち寄った供物を神司に託して、神への祈願を見守っていた。
午後4時頃、赤イロ目宮鳥御嶽では、祈願を終え、氏子らの供物をウサンダイ(祈願の後に奉納した人に戻される)したあと、祝宴の時間となり、乾杯の音頭がとられるといよいよ、境内のムシロが外されはじめた。
この御嶽には、多くの人が集まる理由がある。それは、毎年、大きな石を担いで回るびっちゅる石が行われるから。
八重山の豊年祭行事の中でも奇抜なこの行事は、神事のあとの余興で披露されるもので、大きな石を境内の真ん中で持ち上げ肩に背負って、「ユイ!」の掛け声を揚げながら、練り歩いて見せるもの。より深く腰を曲げ、力自慢をして見せるもの。
この日も5人がびっちゅる石を、大きな掛け声とともに担ぎ上げて、神司、氏子、村人、観光客などの聴衆が見守る中、大股でゆっくりと歩いて見せていた。
この日、びっちゅる石の行事のはじまりで、最初に石を動かすニンガイビトの役で、その補佐に初めて立ったのが、大屋実之さん(33)。
16歳の高校生からびっちゅる石を担いできた大屋さんは、いつでも引き継げるようにと、叔父がやっている役の補佐をするように言われて、今年から手伝うことになった。
石を動かすことが許されるのは、この豊年祭の日だけであるため、一発本番で叔父から注意事項に聞き入っていた。
その後、5番目の担ぎ手として登場して、見事に3周半を引くいい姿勢で回りきって、周囲の古老から絶賛されていた。
なお、びっちゅる石が終わると、周辺の山川御嶽、群星御嶽の旗頭が赤色目宮鳥御嶽のそばのロータリーで旗頭の奉納が行われて、大勢のキャラリーが見守る中、旗頭が上げられていた。
これから八重山各地で、地元出身者が自然ソワソワしてしまう、待ちに待った豊年祭の準備作業が本格化していくこととなる。
(流杉一行)