漁協ワーキンググループ設立 石西礁湖自然再生協議会で

 昔の姿を取り戻そうと石西礁湖の自然再生を協議してきた石西礁湖自然再生協議会。

 7月7日午前9時30分から八重山合同庁舎大会堂で第23回石西礁湖自然再生協議会が開催された。

 石西礁湖自然再生事業環境省事業実施計画が平成20年6月に制定され、10年目を迎える今日、5年前に状況を見ながらの見直し作業ができておらず、それへの反省から、10年目にして、今後の5年間の実施計画を検討するもの。

 まず、冒頭第7期(2007年から2年1期ペース、2019年と2020年の期間)となる参加委員、個人40人、団体・法人44、地方公共団体23、国の機関9の計116の委員が紹介され、2年間の新役員が選出。会長に土屋誠氏、副会長が吉田稔氏に決まった。

 このあと、新たな協議会体制案が提示された。取り組みの実施状況が不明で、委員間の情報の共有不足、活動状況の相互連絡がないなど、問題点を検討しての体制変更で、これまでの生活利用に関する検討部会の準備会である、海域対策・陸域対策・普及啓発の3つのワーキンググループを、部会に位置付けして、もともとあった生活利用に関する検討部会を適正利用部会として普及啓発部会と合体。海域対策部会と陸域対策部会も合同にして、海域・陸域対策部会とし、学術調査部会を新たに設置。この3つの部会が計画を決め実施状況の共有・意見交換をして、その報告をする形で協議会を運営する。

 一方、3つの部会の下に、あるいは別に、特定のテーマの問題点提起や解決を目的にワーキンググループを設置して、委員であれば誰でも設立可能なものとして機能することとなった。

 2~3年の設置で特定のテーマで議論する場として、各部会への情報共有の連携を図り、全体協会への検討指示や提案をするというもの。

 この日、漁場再生ワーキンググループの設立が提案され、八重山漁協のサンゴ種苗生産部会会長の砂川政彦氏と西海区水産研究所亜熱帯研究センターの鈴木豪氏、株式会社エコーの岡田亘氏の3人が発起人となって、石西礁湖内の漁場再生への取り組みをスタートさせるもの。

すでに、崎枝でのサンゴ移植を実施済みで、技術は実証済みで、これを区画漁業権海域でサンゴ有性生殖株を生産。また幼生供給源となるサンゴ有性生殖株の育成・管理を実施するというもの。
 
 新たなワーキンググループの設立に対し、土屋誠会長は、記者の問いかけに「非常によろこばしいことです」と、具体的な再生への取り組みにかかわるワーキンググループができたことを喜んでいた。
 
 このほか、石西礁湖自然再生協議会の「全体構想 行動計画2019-2023」の作成の進め方が確認され、骨子案に関する意見交換もおこなわれていた。

 5年間の取り組み方針と何を重点的に展開するかについての内容と、同協議会委員の連携や役割分担および、進捗情報を共有し、行動計画のフォローアップや見直しも、共通認識して、計画自体の冊子化を遂げていくというもの。

  目指す姿を描いていくことが大事と、委員から意見も出ていた。

 このほか、委員らの取り組み報告も行われて、コーラルネットと呼ばれるネットを海中に設置してサンゴ群集の保全をする鹿島建設とエコツアーりんぱなの取り組みや、環境省による自然再生事業であるサンゴ移植事業の現状や、石西礁湖自然再生事業環境省事業実施計画の改定の検討を、これまで10年間見直し作業をしてこなかった点を反省して検討会を始めることが、改めて説明されていた。

 実施計画の構築を冊子上に展開して、10年放置され、これより5年間の実施計画の取り組みは、また計画かという、声も聴かれるが、即活動に結び付くワーキンググループの設立が委員らによってできることから、具体的な取り組みが増していくことにつながりそうで、いよいよ具体的な活動が目に見えてきて、再生事業に期待が高まってくる。

 

 (流杉一行)

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