クロマグロの漁獲規制説明会

 7月2日午後3時半から八重山漁協2階の会議室でクロマグロの漁獲規制説明会が水産庁により行われ、八重山漁協所属の漁業者ら30人以上が集まった。

 水産庁は、「太平洋クロマグロの資源状況と管理の方向性について」と題して、資源状況を説明。

 中西太平洋国際委員会での親魚資源、30キロ未満の魚、30キロ以上の大型魚の漁獲に関する、いわば3種に分けての決定事項を紹介。

 2024年までに親魚を4万3000トンまで回復させ、30キロ未満の小型魚漁獲量を2002-04年水準から半減させ、30キロ以上の大型魚の漁獲量を2001-04年平均水準から増加させないことが決まっており、また一昨年8月に、親魚資源量が目標を回復した後、次期回復目標や長期管理方策および緊急措置が採択されている。

 かく決定事項が国際委員会で決定する中、平成28-29年での小型魚の漁獲枠超過が発生。これを機に法にもとづく漁獲可能量制度へ移行し、今年7月から委員会での話し合いで枠が決定してくる経緯が公表されていた。

 沖縄では、クロマグロの小型魚は捕れないことから、親魚の漁獲制限がおこなわれ、来年4月から沖縄県では100トンが漁獲枠として設定されることが打診され、最終的には今年12月に確定してくる模様。

 太平洋クロマグロの親魚資源量の回復をねらっての取り組みが漁獲制限の目的のはず。水産庁は、巻き網による小型魚の大量捕獲が資源の激減を招いているのは、明らかとしながら、親魚の規制をする。この日集まった漁協の漁師は、零細の漁業者への負担が、巻き網漁をする大手にくらべてどうなのか。不信に感じて、担当職員に疑問を投げていた。

 この日集まった漁師からは、クロマグロの資源保全に向け、小型のクロマグロを捕獲する巻き網漁の漁獲規制への取り組みが甘いとの声が何度もあがっていた。

 まき網漁による小型のクロマグロの漁獲規制する方に力を入れるべきではないかという声に対し、水産庁は科学的なデータにより、規制をしていると返答。

 ただ、小型のクロマグロの規制を高めれば、数は回復に向かうことは明らかと補足しつつ、大型のクロマグロしかとらない沖縄の漁師へ漁獲制限を進める意味が伝わらない。

 水産庁は、小型のクロマグロの規制が大型とあまりかわらない規制にとどまる状況を、科学的な根拠があるとして、漁業者に理解を求めるばかり。

 この日、根負けする格好で、説明会は閉会となっていた。

 漁師は、資源管理への理解を示しながらも、そのやり方への疑問を訴えて、資源管理に小型のクロマグロの漁獲規制を高めることが、手っ取り早い方法と述べ、そのことの同意と修正を求めても、担当者は答えず、平行線となっていた。

(流杉一行)

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