DMOへ向け八重山の観光のビジョンを軌道修正

 八重山ビジターズビューローのあり方に関する検討会が、3月27日午前11時から石垣市商工会館2階ホールでおこなわれた。

 これは、昨年4月に八重山ビジターズビューローが国認定の法人DMO(デスティネーション・マネジメント・オーガナイゼーション)の登録候補に選ばれたことから、その正式登録へ向けた取り組みとして、有識者による検討会がおこなわれてきたもの。

 DMOと観光物件、自然、食、芸能、芸術、風習。風俗などの観光資源に精通し、地域と協同して観光地域づくりを行う法人のこと。これに対し、国土交通省観光庁が唱える日本版DMOとは、観光地の舵取り役を担う法人としている。八重山におけるその対象が八重山ビジターズビューロー(YVB)ということ。

 さてそのYVBのあり方に関する有識者検討会の第一回の会議が昨年12月27日に沖縄総合事務局でスタートし、第2回は石垣市商工会館でアンケート結果を見ながら、望ましい組織・体制を協議した。

今回3回目を迎え、これまでの内容の濃い取り組みが、山田桂一郎委員長をはじめ、井上正幸氏、越智正樹氏、石黒侑介氏の4名で行われて提言書が発表された。
「YVBのあり方についての検討経緯」から、「YVBを取り巻く各市町村の行動計画の位置づけ」、「観光協会等の定款とYVBの事業定款の比較」、「観光協会とYVBの事業比較」、「観光協会等とYVBの組織体制比較」、「観光協会等の収益事業とYVBの収益事業の比較」と、具体的な姿を確認して、YVBの基本理念、将来像、組織推進体制、ワーキンググループの展開イメージ、直接販売・収益組織としてのあり方などを、その提言書に示していた。

 なかでも、「地域が稼ぐのをDMOが支援する」役割を担うべきとする一方で、自立的、継続的な組織作りをめざす上では、収益性ある事業も必要とし、自主財源の確保に向けた事業展開を10項目示してもいた。

 この日は、仕上がった提言書に関する最終確認作業がおこなわれたほか、事務局であるYVBのメンバー、沖縄総合事務局などや、オブザーバーの観光協会やJTB関係者からも意見を聞くなどして、今後の取り組みの方向性を確認していた。

 YVBのメンバーやオブザーバーとしての参加者は、DMO認定に向けて何をすべきかについて、熱心に耳を傾け、国がめざす観光による外貨獲得の壮大な取り組みへ向け、いかなるイメージを八重山観光に抱くのがよいか、これからの取り組みへ向けた提言書が行政へ与える影響に期待を示していた。

 この後、食事を挟んで午後1時から石垣市役所市長室で提言書の手交式がおこなわれ、山田氏から中山義隆石垣市長へ、提言書が手渡された。

 提言書には、YVBの基本理念を「観光を通じて地域課題を解決する推進・調整役」とし、YVBの将来像を「持続可能な八重山観光に主眼を置いた、旅行目的地の経営組織」としていた。

 この日の検討会では、持続可能性指標(STI:サステナブル・ツアリスト・インディケータ)が海外の先進的な観光地で導入されており、観光客の満足度や地域経済の状況、地域資源の状態などを示す客観的な項目や評価を目標に含む観光戦略を策定する必要があるとする部分を確認。山田氏ら各委員は、その部分の充実を今後の課題にしていた。


 
 元来、観光地が人気となると、資本が動き出し、転売目的の土地買い占めや、建設・開発がはじまるもの。それにより、すかさず地価があがり、固定資産税も高騰。地域住民には気がついたときには、役所への出費が増え、厳しい状況が迫ってくる。

猛烈な観光の沸騰は、持続可能とは縁遠いものといえる。この問題は小さな市町村には重要で、地域づくりの根幹を揺るがすものともなる。そこへの国の側での配慮はなく、あくまで地域が住民の間でそのめざす観光の形を決めて、取り組むという形になる模様。

 ある意味では、竹冨島のごとく、地域憲章で島外者への土地の売買を禁じるなど、めざす観光の姿を具体的に条項として取り決め、壁を生み出すところにまで、言及し得る組織づくりも検討対象となりえるかも。

 こうしてみると、国は、ある種、竹冨島が取り組む形を、DMOに求めるような趣さえ感じられる。地域が主となって観光の形を皆でつくっていく。その先導役が、YVBの将来像であるとすれば、地域振興の立役者としての位置づけも将来的に見えてくる。

 成功すればまさに国際的にも先進的な地域として、八重山観光は大いに評価の対象となる可能性がある。

 少し飛躍するが、すでに竹冨島公民館がDMOとなっているかに見えてくるのは、記者だけだろうか。八重山にDMOの老舗ありか?。

(流杉一行)

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