6月18日午前9時30分から石垣市宮良の県立八重山特別支援学校高等部で就業体験報告会が行われ、多くの父兄や関係者が見守る中、仕事現場で得た感想や反省を公表していた。
生徒らは一人から2・3人グループ、多いところで4人グループとなり、理解ある企業18社の職場で就業体験。その体験先ごとに一人一人が報告。勤務期間は2週間。報告会は日課、仕事の内容、楽しかった点、難しかった点を話したあと、自ら設定した目標を述べ、それへの達成度を自己評価。そこで発見した課題を公表していた。
学校側が用意したプロジェクターに生徒らがこの日のためにパワーポイントでつくった画像を用意。就業先での撮影写真は先生らによるが、それをピックアップして画像を作ったのは生徒らで、これも教育の一貫とのこと。報告会では伝える内容を画面で表示させながら、言葉が明瞭ではない生徒でも伝わりやすく工夫しての発表となって、「みんな仲良く協力し、最後まで頑張る」「遅刻をしない」「分からないことがあったら聞いて、コミュニケーションをとる」といった目標を掲げる生徒の意志は会場に聴衆にしっかり伝わっていた。
またその達成度を○や×および△で表示。反省点を述べつつ自己評価して、「敬語を話せるようになりたい」といった細かな改善点なども誓うなどしていた。
学校側関係者によると、八重山特別支援学校を卒業した後、理解ある企業が雇用するケースに二通りあり、生徒が最低賃金の獲得ができる就業先と、工賃のみの就業先で、生徒の可能性を開くべく、最低賃金の獲得できる就業先に就ける生徒を増やすため、中等部時代から時間割の授業以外に、グループで数日間、目的を持ったプログラムをこなし、郊外に出向いて見学したりなどして、就業に向けた取り組みを重ねているとのこと。それがあって、高等部でも就業体験から、自ら課題を見つけ、ステップアップを図る報告会ができるとのこと。
なお2年前から、iPadを活用した授業が同校では始まっており、昨年までは希望者のみだったものが、今年は学校側で持たない生徒に全員iPadを配布し、ITを活用した授業を予定する模様で、その告知もこの日行われていた。コミュニケーションのうまくとれない子どもでも、ITの有効な活用方法が身につけば、可能性が広がるのは間違いなく、一般の生徒より先行して支援学校で、ITをつかったICT(インフォーメーション&コミュニケーションテクノロジー)が始まっている模様。コミュニケーション力がつけば、理解ある企業も自然増えることになるとすれば、iPadなどのIT情報機器は同校生徒らの救世主となるかも。
(流杉一行)