4年ぶりに庭の芸能 竹富島の種子取祭

 11月28日午前11時から竹富町竹富島の世持御嶽で国の民俗無形文化財の種子取祭の庭の芸能が行なわれ、多くのギャラリーが集合していた。

 コロナ禍で2020年から行われてこなかった竹富島の種子取祭の庭の芸能は、今回4年ぶりとなる再開で、会場は待ちに待ったコロナ明けを感じさせる空気が漂っていた。

 2019年まで庭の芸能は9時40分頃からのスタートが通常だったが、今年はコロナ禍明けが影響して、演目数を19に制限。根原金殿で参詣が行なわれた後、世持御嶽に戻った神司や長老でなる参詣集団は、午前11時頃にンカイ(迎え)が行なわれ、いよいよ4年ぶりとなる庭の芸能で、会場は500人以上の聴衆で盛り上がった。

 まずはお清めとされる棒がおこなわれ、3尺棒を打ち合う1番棒から刀と薙刀の5番棒まで、銅鑼と太鼓の音を打ち鳴らして、庭の芸能の滑り出しを盛り上げた。

 竹富小中学校の生徒・教員で行われる太鼓の後、女性陣が農具を手に農耕の所作を見せ演じるマミドーが始まると、竹富島の種子取祭らしい農耕の祭りらしさが浮き彫りになり、いよいよ神への奉納が具体化する格好。裸足で演じる光景にはこの演目への力の入り方が現れていた。

 このあとジッチュ、マサカイ、ウデボー、祝い種子取と続き、最後はウマヌシャーで締めくくっていた。

 ジッチュは10人の子どもを育てた勤労家族を讃える演目で、マサカイは真栄と書いて、昔西表島に移住者した人を讃えた演目。クワをもっての踊りは開拓を感じさせる。道分けという強制移住の命を受けても、いとわず移住した人を演目にしているもの。ウデボーは女性が腕で相撲をとる楽しい演目で、人気の演目。

 祝い種子取りは、石垣竹富郷友会により道歌、安里屋ユンタ、クイチャーの3曲が踊られ、最後の威勢のいいウマノシャーの踊りを奉納して、馬乗りの所作が特長で、一斉に足を上がる様子は豪快に見える。

 かくして、舞台の芸能に移ると、今回はホンジャー(長者)がなく、弥勒からスタートして、鍛冶工狂言、早口説、しきた盆、真栄、元たらくじ、世持、八重山下る口説といった演目が計19続いていた。

 元来、コロナ前の玻座真集落の演目は36演目で、その多さは破格。仲筋集落でも30演目は凄いが、玻座真集落の多彩さは驚きもの。まさに八重山最大の奉納芸能。今回、数を抑えることになるのは、3年のブランクはたやすく埋められない。それだけ全力疾走してきた祭りともとれる。

 今回は、舞を担う人の若返りもかなり見受けられて、リフレッシュする種子取祭の印象が今回のもっとも目に付いた特長かも。

 五穀豊穣を願う種子取り祭は、29日にも続き、世持御嶽で仲筋集落の奉納芸能がおこなわれる。

(流杉一行)

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