9月23日、石垣島バンナ公園上空に朝から鳩サイズの小さな鷹、アカハラダカが雲に乗って多数飛来した。なかでもバンナ岳の渡り鳥観察所では真上に集まる80以上のアカハラダカを21人のバードウオチャーがアカハラダカの鷹柱を観察。同観察所は大いに沸き返っていた。
本格的な北風が来ないにもかかわらず、記者が9月13日に飛来を確認した。愛鳥家らによると11日から飛来が始まり、13日は於茂登岳上空や石垣島南側の洋上に見られた131羽が確認された。14日1羽、15日ゼロ、16日28羽、17日4羽、18日50羽、19日5羽、20日100羽、21日150羽と北風がないまま、アカハラダカは自力で雲の上昇気流を利用しながら、雲から雲に乗り移り飛来。22日にはようやく北東の風が吹き211羽になり、そうして迎えた23日、約千羽近い数が確認された。(920羽)
繁殖地が中国北部や朝鮮半島で、そこから対馬、九州を経て奄美、沖縄本島、宮古島を通過して八重山の山岳部上空の雲間に現れている。この後、東南アジアで越冬する。
同じ小型猛禽類のツミに似たサイズの鷹なのだが、本土では九州沖縄以外ではほぼ見られないので、知られていない。アカハラダカの英名がチャイニーズ・スパロー・ホーク。あるいはグレイ・フロッグ・ホーク。ツミはジャパニーズ・スパロー・ホーク。いわば漢字では雀鷹。サイズ的には鳩だが、彼らが襲う鳥が雀サイズだからこの名がついたともいわれる。スズメのような小型の野鳥を襲う鷹を須須美(すすみ)多加あるいは豆美(とうみ)といったことから「すみ」あるいは「とうみ」が「ツミ」となり、今の名があるらしい。しかし、野鳥の名前にこの「ツミ」は、馴染めないものがある。
昔、鷹狩り用に使われた鷹であるために、ツミのメスをツミ、オスをエッサイと呼ばれていた時代がある。だからこの名が残っているとすれば、なるほどとなる。
9月初旬にツミが上空で旋回するのを何度か見かけた。まさか渡っていくのか、あるいは来たのかは不明だが、明らかに指羽の本数が5本であった。アカハラダカは4本。アカハラダカが飛来してくるタイミングでツミが上空に現れるのは、不思議だ。すでにアカハラダカが来ていて対抗意識で飛んでいたのか。想像の世界だが、渡り鳥を留鳥が圧力をかけに接近するケースはよくあること。野鳥の世界は、見ていていろいろ想像ができて楽しい。
(流杉一行)