南の島の星まつり 星と音楽堪能のひととき 久々のドヨメキ湧く

 8月19日午後6時ころから、南ぬ島公園で、南の島の星まつり夕涼みライブ&星の観望会が開催され、多くの来場者が八重山最大の星の祭典を楽しんでいた。

 公園南側では、八重山星の会が用意した天体望遠鏡が多数用意され、日が没した後に現れ始めた星をファインダーにとらえて、関心ある来場者に天空にきらめく星を見せていた。

 舞台では、伊良皆誠率いるバガダバンド(われらのバンド)が会場を盛り立て、にぎやかな時間を用意。

 コンサートのトリには、石垣島白保出身の歌者で数々のヒット曲を発信してきた島唄の重鎮、新良幸人がパーシャクラブを率いて舞台を展開。

 会場は大いに盛り上がって、軽快な「海の彼方」などは、のびやかな歌唱力が会場いっぱいに広がり、暑さを忘れるサマーコンサート。

 ただ「ファムレウタ」で落ち着いた空気が吹き飛ばされて、コンサート終了後はアンコールの呼び声が会場から沸き上がって、星まつりが歌の祭典に大きく切り替わりそうな雲行きまで起こっていた。観衆の名残惜しさはわからないでもないが・・・。


 
 午後8時半にライトダウンがあり、会場の明かりが消されると南の空から天空にかけて天の川が大きくはっきり現れて、会場全体から歓声にも似たドヨメキが湧きあがり、一転して星の祭典にふさわしい空気が会場を包んでいた。

 南側にくっきり現れたさそり座と、天空に向けて縦に真上の方向に伸びる多数の星の帯の天の川。西には没していく三日月が見え、八重山星の会のメンバーによる星の解説がスタート。一等星のアルタイル、ベガ、アークトゥールス、スピカ、アンタレスや、北極星に土星と、この時期見られる星が示され、夏の大三角形とされる星もレーザーポインターで示され、皆、興味津々で解説者の声に耳を傾けていた。

 少し気になったのは、これまでコロナ禍により制約がつきまとった開催が続いたせいか、馴れない人が増えたのか、どこか遠慮のない空気観があった。星まつりの来場者のスマホの明かりが途切れず、また売店への移動する人の往来が、スマホの明かりを使うために、いつまでも周囲から明かりが漏れ、暗がりに慣れてしまえば見えてくる足元も、いつまでも漏れ来る光で、目が慣れずスマホをつける人の数が減らない状態が続いていた。

 しかも、星を眺める時も不用意にスマホをつけっぱなす人や撮影にフラッシュをたく人など、星の観察の会場になれない人やそれを目的にしない来場者が多数出現。中には八重山星の会の解説者の使うレーザーポインターとは違う別のものが、別の場所から別の星に照射されることもあり、混乱を引き起こす現象まで発生。将来的には、星まつり会場での光害に注意喚起が必要となるかも。

 市街地の関係機関へ星まつり開催で、ライトダウンの時間帯に光を出さないように、協力を求めての開催が、ある種のこのイベントの特長でもあるはず。

 この特殊事態が、会場に来ている人へ周知されていないことや、コンサートでの光の使い具合が、星まつりを忘れさせるほど盛り上がって、この日、この時間の意味がどこか消えてしまっていた感じもあった。

 コンサートがメインでないことがわからず、星を見た後に、またコンサートがあると思う来場者もいて、説明の周知がないことが、会場の混乱を生み出していた。(記者に事情を聴きに来た来場者が実際にいた)

 しかし、盛り上がることは悪いことではない。ただ、純粋に星の観望を望んだ来場者には、残念さはある。今回、飲食のコーナーが離れた場所に用意されたのがよかったのは、店舗から漏れる光が以前から気になっていたから。最後に、ライトダウンの後にサザンゲートブリッジから煌々とヘッドライトを灯して走る車が警察車両だったことが、驚きだったのは記しておきたい。1000人近い来場者があふれる会場に、無関心な警察とは考えにくいが、野太いとしか言いようがない。そこを、頼もしいと解釈するか?。

 駐車場がないために来場者がサザンゲートブリッジを歩いて渡るのがこのイベントの常。
 そこをズルして、車で渡って路上に駐車違反をする車両が出たのかも。
 なんでもかんでも観光客歓迎や来場者の増加ねらいも、配慮を怠ると混乱をまねく事態が生まれ、島は少しずつ荒れかねない。ルール違反の恒常化を子供に見せることから、教育上もよくない事態を生みかねない観光振興。極端なもの言いだが、コロナ禍からの開放で緩みがちになるものは警戒が必要なはず。

 しかし、改めて感じる豪華極まりない天然の感動の装置。この天空に広がる星々に囲まれて生きていることに、いまさらながら心の底から奇跡を感じてしまう。しかも、地球上のどこからも見えるのだ。それをこうして大勢で感じる時間が、この日本最南端の都市、石垣市で実現している。こんな機会は、そうないはず。改めて八重山星の会に感謝したい。

 なお、南の島の星まつりは、VERA特別公開、天体観望会、宇宙シアター体験、天文台施設見学も実施している。詳細はやいまタイムのスケジュール欄をどうぞ。

 20日には、午後2時から石垣市民会館中ホールで講演会とLIVが予定されている。

 
 (流杉一行)

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