新春凧あげ大会 中央運動公園に350人集合

 1月8日午前10時から石垣市中央運動公園陸上競技場で石垣市教育委員会主催の新春凧あげ大会が開催され、多くの市民が会場に駆けつけ、自慢の凧を新春の北風の下で大空に舞い上げ、楽しい一日を過ごしていた。主催者発表では350人が参加。

 例年、この凧あげのイベントに使う場所が私有地となり、南ぬ浜ビーチも草が生い茂って使えないため、陸上競技場での開催となった。

 元来、スポーツで記録を競う場所は風の影響があっては困るのが実際。となれば当然、一定の高さまで凧をあげないと、安定した風をキャッチできない。この日は、これまで通り多くの凧が集まったが、安定した風をとらえるには、時間がかかっていた模様。

 そんな場所でも、そこは凧好き市民が集まっており、自慢の凧を空に舞い上げようと何度もアプローチして、八重山凧愛好会の会員からのアドバイスを受けながら、しばらくすると多くの市民が上空高く凧を舞い上げることに成功していた。

 この日のコンテストには63人がエントリー。ピキダーの部、ハッカクの部、アヨウの部、シャクシメーの部、自由凧の部の5部門に登録して、審査員から「できばえ審査」を受け、審査員により最優秀賞、優秀賞、優良賞が贈られる。なかでも伝統凧であるピキダー、ハッカク、アヨウの各部では、タコ糸が80mの決められており、揚がった凧の糸から迎角を計ることで、もっとも高く揚がった凧が判明する。実際に高く飛ぶことが受賞につながる。

 できばえ審査では、伝統凧が糸目(シャク)にアダナスを使っているか、カマシと呼ばれる竹の組みの具合や、シバリと呼ばれる糸での結わえ。それらに骨組みを見て、全体のバランスを見る。まさに、伝統の凧の継承に力点が起かれるコンテストといえる。

 多くの凧が舞う中に、ピキダーとハッカク、アヨウがある光景には、市民の八重山伝統凧への愛着度が現れるというもの。おそらく、ただ凧をあげるだけでなく、今ほどいろんな遊びの無かった時代から連綿と継承されてきた凧の技に、想いがある人の影がそこにあると見ていい。

 八重山の新春の凧揚げは、そんな視点で見ることができる。そこは6月の交流会と少し違う点だろう。

 凧を見守る人の中に、伝統凧に特に注視して見ている眼差しが、北風の凧揚げにはあるということだろう。

 八重山凧愛好会の仲間清隆会長が、伝統凧ピキダーの白地やハッカクの赤い丸だけの伝統の化粧ではなく「ピキダーやハッカクに好きな文字や絵柄を入れることは、どしどしやってほしい」と、趣向を凝らした伝統凧をつくってほしいと述べていた。

 記者も、この日の揚がった目立った凧が、あとでよく見ると、なんと伝統凧の地に、目立つ絵が描かれていることに気が付いた。新たな時代に移行しているともいえそうだ。

 なお、恒例のシャクシメーによる子供たちへの菓子プレゼントは、今回も実施され、子ども達の喜ぶ歓声が会場に響いた。



(流杉一行)

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