コロナ禍の下 オヤケアカハチ慰霊祭

 4月14日は旧暦3月3日。この日は石垣市大浜集落では、郷土の英雄オヤケアカハチが亡くなった日とされ、集落では遺徳を称えて慰霊祭が毎年行われている。

 この日も、午前10時に大浜小学校に隣接する崎原公園で、オヤケアカハチ慰霊祭が行われ、2人の神司と大浜公民館の役員が祭壇を用意して、オヤケ赤蜂の碑の前で遺徳を称えて供養をしていた。

 昨年に次ぐ、コロナ禍の開催となり、例年大浜小学校の5年生が慰霊祭に参加して、オヤケアカハチに関する講話を、来場者と共に聞く機会を得てきたが、昨年は小学生の参加も講話も中止となっていた。今年はコロナ終息すれば、5年生と6年生がいっしょに参加する予定だったが、コロナは終息せず、今回も小学生の参加は見送られた。

 大浜村で名をはせた伝説の英雄オヤケアカハチは、首里王府の厳しい税の取り立てに対し、村のために逆らって逆賊とされ、首里王府に打ち滅ぼされてしまったが、その精神性を大切にしたいと、碑や銅像が建立されている。

 この日、多彩な花で飾られた慰霊碑の前で、一同が手を合わせて供養した後は、アカハチ行進曲を歌い、アカハチが生きた時代の行動に思いをはせながら、地域の英雄を讃えていた。

 大浜公民館長の島袋英信氏は
「昨年に次いで今回もコロナ禍で慰霊祭は縮小せざるを得なかった。大浜の伝統行事なので、続けることを大切に考え、神行事を軸に役員らだけでやる方向で開催しました。」と、学校とも意見を交わし、万が一を考えて、小学生参加と講話の2年連続の中止を決めたことを述べていた。

 できるかぎり密を避け、伝統行事を続けたいが、万が一の事態を考えるとリスクあるところは省かざるを得ない。コロナ禍の下で、島の伝統行事を担う人々の共通のジレンマがそこにある。
 
 ワクチン接種がどう進み、どう変わるか。様子を見ながら、行事運用の判断がされていくことになる。

 (流杉一行)

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