6月10日、午後3時20分、新石垣空港を離陸したのは八重山市町会が放つ第3弾のチャーター貨物便「南風ぬ便り」で、エプロンでひと際大きな機体を晒す中型機のボーイング787-900。
伊丹経由で羽田へ飛ぶ本土便で、この日22トンの貨物が積載された。なかでも本マグロが12本積み込まれて、東京の台所・豊洲に送られていった。
前回の第2弾の福岡経由羽田便では38本の本マグロが本土へ送り込まれた。キロ5000円、4000円、3000円が出て、送り甲斐のある値がついている。
この日の第3弾のタイミングは、今期の本マグロ漁が6月7日午前0時時点で捕獲制限に入っており、いうなれば豊洲送り最後の本マグロ12本。
このほか、パインなどの野菜類が積み込まれて送られ、伊丹へは10トン弱で半分以上は羽田行きになった模様。
八重山漁協の友利邦明課長によると、今期の八重山漁協による本マグロ捕獲は550本(105トン)で、昨年に比べると、倍近い重量がとれている(昨年は180本:55トン)とのこと。
近年稀な大豊漁だが、資源保護のための厳しい漁獲制限2年目で、しかも新型コロナウィルス感染阻止のための自粛中の世の中での需要激減。値は平時とは違って安く、しかも輸送手段は、航空便の減便が相次ぎ、よい肉質の本マグロも送れないケースが頻発した。
そこを那覇便経由での羽田送付で耐えて送り続けて、5月23日に緊急事態宣言全解除となると、ANA(全日空)のB787を使った貨物チャーター便が、八重山市町会の支援で5月27日、第一弾として飛び、なんとキロ1万円で売れた本マグロがでた。
6月3日には福岡経由羽田行きでマグロフライトと呼ばれた第2弾。6月5日からはANAが羽田便定期就航を週2日のみ、一時的に飛ばすなどし、この日、八重山市町会の第3弾を伊丹経由の羽田便で飛ばした。
今後も、八重山市町会は状況を見ながら飛ばしていく模様。そこは、ハワイ種パインが注目されるところだ。
今、各刺身屋には本マグロが冷蔵庫で唸っているはず。おさしみクーポンも発売中で、今年こそ、生の本マグロの刺身を大いに食して、島の循環経済と自身の健康に貢献。
八重山の海域に集結する地元の味覚・本マグロの刺身を、こころゆくまで堪能したい。ちなみに、先日、長芋をおろして、トロロの入ったマグロ丼をつくって食べた。絶品だった。本マグロでこれほどの贅沢はない。
(流杉一行)