1月4日午後1時から石垣市民会館大ホールで令和2年石垣市成人式が開催され、480人の新成人が参加したほか、多くの保護者や関係者らも会場で見守る中、大人の自覚を胸に新たな門出を迎えた若人を祝っていた。
石垣安志教育長の開式のことばではじまった式典は、新成人全員で起立しての市民憲章唱和から、いしがき少年少女合唱団とともに市歌斉唱、そして同合唱団からの合唱のプレゼントと、澄んだ歌声が会場に響きわたり、会場からは大きな拍手が贈られていた。
式辞に立った中山義隆石垣市長は、多くの観光客や移住者が島に来る魅力の一番は、「島人の心」であろうと述べ、高度情報化社会の到来は我々に様々な恩恵をもたらしたが、ひきかえに心のつながりの希薄化が近年危惧されていると述べ、八重山では「結い」の精神がしっかり残っており、それを根底とした優しさあふれるもてなしが、訪れる人の心に癒しと安らぎをもたらしていると述べ、「デンサー節」などの民謡や格言など様々な形で親から子へ脈々とその精神が受け継がれているとし、このことに誇りと感謝の念を抱き、これからも守り続け、さらに磨き伸ばしていく責務があると述べていた。
成人代表としてあいさつに立った出地佑希さんは、島を離れて、都会での暮らしに悩むこともあったことを披露して、いっしょに頑張っている島の仲間や家族からの電話が心の支えとなり励みになったことを述べ、これらの体験から、人から支えらえれていることで、好きなことができ、夢中に取り組むことができることに気づくことができたとの述べていた。
出地さんは、これからは決断には責任が伴うが、自分で考え、自分で未来設計をしていくことができることを告げ、周りに流されず自分を信じて生きていきましょうと、会場の新成人に呼びかけていた。
次に成人代表としてあいさつに立った安里萌花さんは、ここにあつまった新成人の仲間たちもそれぞれの思いにより、決意を新たにしていると思いますと述べ、その実現に向け、この日を新たな人生のスタートとして、大人としての自覚を持ち、それぞれの目標に向かって走り続けます。たとえくじけそうになっても、この島で過ごした日々と、環境が違えど、同じように頑張っている仲間がいることを忘れず、常に希望をもって乗り越えていきましょうと、呼びかけていた。
第2部では、石垣市青年団協議会によるアトラクションが用意され、3高校郷土芸能部OBによる舞踊「鷲ぬ鳥節」が、見事にぴったり揃った群舞で新成人を魅了。
同協議会の國吉長朗会長の祝辞の後、ゆい☆いしがき88と池田真作のミニライブが行われ、会場は若い子供らの舞台に沸き、ベテランミュージシャンの贈る曲に手拍子で答えるなどしていた。
例年の成人式に比べ、終始、落ち着いた観のある成人式で、ヤジが飛ぶこともなく、気持ちのいい式典となっていた。大ホールから出て、ピロティーでは久しぶりに会った友人らとの談笑で盛り上がるいつもの新成人がいた。
そばにいる保護者にすれば、一段落の余韻とともに見つめる、多くの新成人の中にいる我が子供の晴れ姿。一方で久しぶりの体面を楽しみにする彼ら新成人の高揚の渦が、いつもの成人式のエンディング。
加えて、次のイベントへの影響を唱えて、早く散会するよう促す石垣市職員のマイクの声が、長くいつまでも響いて、熱心なのだが誰の耳にも届いていなかったのは、やはりエンディングに入った世界は、そうたやすく冷めないからかも。
(流杉一行)