6月6日午前8時半から石垣島伊原間の船越漁港で北部漁友会(鈴木剛会長:会員15名)による船越ハーリーが開催され、多くの関係者や住民・市民が集まり、会場は大いに盛り上がった。
この日は「ユッカヌヒ」と呼ばれ、旧暦の5月4日に開催される沖縄伝統行事「海神祭」が行われる日。
八重山でも石垣市(四か字・白保・船越)、竹富町(白浜・細崎)、与那国町(久部良)で、漁業者を中心に、海での安全航海と、大漁を祈願して実施されるハーリーと呼ばれる爬龍船競争が行われる。
石垣島北部では、この伊原間の船越漁港で毎年船越ハーリーが開催されており、今年で22回目。
特に、平久保半島の付け根に当たるこの漁港が、昔の漁師が船を担いで東シナ海と太平洋を渡った道にあり、船越と呼ばれる地名もそこから発していて、島では知られた場所。
昔、島の市街地四か字からやってくる糸満出身の漁師もこの場所で船を担いで、海の様子を見ながら反対側の海へ渡るなどして、漁をしていたことで知られている。
石垣北部では、伊原間の昔を知る漁師、平良正吉氏ら有志が中心になって、船越ハーリーを22年前にスタートさせて、伝統行事として継承している。
開会式がおこなわれた後、恒例の行事、2艘のサバニを担いで陸を渡る「フナクヤ行事」が行われ、全員でサバニを背負って「フナクヤ!」の掛け声を発しながら、重い船を背負って、サバニを運んでいた。
御願ハーリーが行われたあとは、小学生高学年や中学生による体験ハーリーがおこなわれ、子どもたちは揺れるサバニをものともせず、元気いっぱいにサバニを漕いで見せていた。
明石小学校や川平小学校、伊原間中学校が参加しての体験ハーリーには、PTAもしきりにスマホやカメラで写真を撮るなどして、盛り上がっていた。
このあと一般の体験サバニがおこなわれ、その間、会場では、明石小学校の「よさこうソーラン節」の踊りや明石幼稚園、伊原間保育所などの可愛い演舞、伊原間中学校や川平小学校のダンスなどが続いていた。
「さすが北部の魅力」と思わせる、見事な青い海青い空が背景で輝いて、大自然が見せる美しい光景をバックに、子どもたちの笑顔の演舞で会場は大いに沸き返っていた。
海では、久松5勇士にちなんだ「5勇士ハーリー」の競技や、「団体ハーリー」に各10チームが参戦して、1位となった伊原間公民館チームとアウトフィッターチームにそれぞれビール1ケースが贈られていた。
この日は、友好関係にある埼玉県白岡市からの友好使節団も参加して海神祭を盛り上げた。また参加者からマグロの一本が寄贈されたほか、寄贈のイセエビやマグロの汁でできた汁そば400食が無料で提供されるなど、手作り感満載のたのしい行事となっていた。
この日のメインイベントは、上がりハーリーで北部漁友会と桃里漁友会との間で、2周の距離での爬龍船競漕がおこなわれ、凱歌は北部漁友会に上がっていた。
天候に恵まれた船越ハーリーを主催した北部漁友会の鈴木剛会長は、「船越ハーリーは航海安全と大漁を海の神に祈願するのが目的で、加えて伝統行事を通じて、子どもたちに海の大切さや、昔の人の苦労をハーリー体験を通して知ることは意義があり、しっかり伝えていきたい」と、この海での体験を通して子供たちの気持ちに、自然に沸いてくる様々なことが成長のきっかけになることを大いに期待していた。
(流杉一行)