1月28日午前9時号砲とともにフルマラソンとハーフ24キロマラソンの出場者約3000人が石垣市中央運動公園のゲート前をスタート。9時20分には10キロのランナー約2000人がスタート。
石垣島は約5000人のランナーが地面を蹴る音と激しい呼吸で満ちあふれ、小雨日和見のアスリートには丁度いい涼しさを堪能。応援する人も熱が入り、充実したマラソンイベントとなっていた。
フルマラソン男子優勝は、川内鴻輝さん(25)埼玉県から出場でタイムは、2時間35分15秒。
女子優勝は、畠山望美さん(44)岩手県から出場でタイムは3時間14分03秒。
畠山さんは、石垣島と岩手県の間で「たねもみ増殖」が縁で生まれた「かけはし交流」の関係で派遣により出場した選手。岩手県でのマラソン大会で地元1位となったことから、岩手からの派遣選手として参加。ちなみに男子2位が岩手からの島智也さんで、彼も派遣での参加。岩手とのかけはし交流の絆の充実が、ここに現れている。
川内鴻輝さんは、埼玉県の公務員ランナーで有名になった川内優輝さんの実弟で前回の石垣島マラソンでは男子2位の成績。今回、優勝できなかった前回大会のリベンジに挑戦し、見事、優勝を実現した。
川内さんは
「5000メートルばかり24キロのトップの人について走って、そのペースが速くて3分25秒を切っていたので、自分のペースではないと判断して、30秒ぐらいに落として、自分のリズムとフォームで走ることに専念しました。最初から3分30秒から40秒で走ろうと考えていました。今日は風があって、それ以上早く走ることはできなかったのもあります。今回はタイムよりも、前回2位のリベンジをかけ、優勝を目指したので勝てて良かったです。」
と、にこやかに記者の声に応えていた。
畠山さんは
「最初は走りやすいかなと思ったのですが、アップダウンと風に苦しめられました。迎え風や横風があってタフなコースでした。6・7キロぐらいでトップだよとまわりの人に言われました。そこから独走だったと思います。25キロからアップダウンが激しいと見て、そこまで飛び出さず、自分のペースで行こうと思っていました。同じラップを刻むように走りました。後半に足が残せるように。キロ4分ペースを目指していましたが30キロ越えた当たりで、厳しくなり4分40秒ぐらいになっていました。気温はマイナス10度の岩手から来ているので、石垣島の気温は日も差さずよかったです。風が強くて、空港から吹く横風が強かったですね。風のことは聞いてはいたので、そこはネガティブにとらえずポジティブにとらえて対処しました」
と述べていた。
かけはし交流とは、1993年の日本を襲った全国的な冷害で岩手県も被害を受け、新種登録したばかり2種の岩手34号と36号を、1994年の田植えに間に合わせるために、石垣島で種籾増殖を実行。石垣島の農家が快く受けて、1月に田植えし、5月に刈り取るという未経験な稲作を実行。これが縁で岩手と石垣島とのかけはし交流は続いている。「かけはし」は岩手34号に付けられた米の名前。ちなみに36号は「ゆめさんさ」。
畠山さんは「以前、北上マラソンで石垣島のランナーと隣になったことがあって、そういう交流はあります。」と、石垣島との種籾増殖の話は以前から聞いていたとのこと。
16年のマラソン経験もつ畠山さんは、「石垣島ははじめてで、優勝もはじめてです。一度来たかった石垣島で、マラソンで来れて優勝できて、本当にうれしいです。」と、優勝を喜こんでいた。
なお、この日、石垣島は、大会勝利を目指す人、記録に挑戦する人、記念に参加する人、家族や友人知人と参加する人、様々な思いを胸にマラソンのスタートラインに立って、目指すゴールへひたむきに走るランナーで、溢れた。応援する人も清々しい気持ちでランナーを励まし、新年の最初の月間を飾るにふさわしい、マラソン一色のすばらしい一日となった。
(流杉一行)