7月8日午前9時半から石垣市立八重山博物館で民具・ワラぞうり作りが開催され、20名以上の参加者で会場は沸き返った。これは毎年実施される博物館体験講座のひとつで,秋にはあんつくづくりが有名で、手作りに自信のある人が参加して、自然素材でつくる民具に挑戦するもの。講師に宮良信和さんを招いて同博物館に集まった一行は、館外の入り口に設置されたテントで、博物館が用意したワラの選別を行い、節のあるワラを抽出。ほかはくずになってしまうので、即処分。そうして、束にしたワラを、今度は木槌で叩き、加工しやすく柔らかくしてゆく。そうして仕上がったワラを、館内に戻り「ひきそ」と呼ばれるワラぞうりの芯になる縄に、ゆっくり編んで行き、ぞうりに仕上げていくもの。参加者はワラ草履くりは皆はじめての人ばかりながら、ものづくりが大好きな人が集合したのもあり、積極的に木槌を手に、叩く感触を確認しながら、木槌の音が響き渡った。
会場を館内特別陳列室に移して、「ひきそ」を渡された参加者は、さっそく編み込み始めるが、なかなかうまく編み込めず、何度もほどいてやり直す人が続出していた。
それでもワラぞうりの形に近づくと、夢中になって編み込む姿が見られた。あまりに夢中になりすぎて、今度は鼻緒の取り付けを忘れた人が続出。鼻緒の位置までほどくことになった人が講師の宮良さんの指先に集中して、鼻緒の取り付けを熱心に学んでいた。
市内野底から参加した羽場ゆう子さん(72)は、「何度もほどいてやり直しました。苦労すれば覚えると思うので・・・。でも、楽しいです」と、作業する手を止めず一心に編み込んでいた。学童クラブで夏休みに子ども達に教えてあげたいと思い、取り組んでいるとのこと。マーニ(クロツグ)やアダンバ(アダンの根)でつくる民具にも挑戦したいと述べていた。
この日の参加者は、ものづくりが好きな人らしく、簡単な解説で即作業に着手する人が揃っていたが、ワラぞうりづくりは簡単に見えて難しく、なかなか形ができない人が多く、それでも宮良講師の手ほどきを受けながら、粘り強く完成に向け仕上げていた。
手業の魅力は、家で何度も挑戦して、自分のものにしていくことにあると、サポートする博物館スタッフも、最初はうまくいかなくて当然と述べ、参加者を激励していた。
(流杉一行)