台風6号去る

  8月1日から八重山地方を混迷させた台風6号。8月4日にようやく、すっきりした。
 八重山では大きな被害はほぼなく終了。

 1日頃の当初は沖縄本島へ向かっていくも、宮古と沖縄本島間をだんだん南寄りになり、予報として西に出てから、石垣島はかかることになり、石垣市民は驚くことに。おかげで島のスーパーの棚からすっきりと即席ラーメンが消えていた。

 まだ、遠いと思われた台風6号は、その暴風域の大きさに誰もがびっくり。私が知る昔の感覚であれば、暴風域は930ヘクトパスカルなら通常は半径70kとか90k。ところがこの6号の暴風域は西に220k、東に280k。倍以上の大きさに、間違いではないのかと疑うほど。(昔は暴風警戒域として別に暴風域が設定されていた)

 長年、台風の規模を頭に置く人には、この変化は気が付く。しかし、ネットにある情報は、暴風警戒域と書いたり、暴風域と書いたりで、変な書き方。

 実際、石垣島地方気象台に、間違いではないかと問えば、間違いないという。発表の数値がそうだという意味である。こちらの問いは、昔を知らない人には通用しない。

 この勝手な変更で、うやむやにできるということらしい。

 暴風域とは、25m以上の風が吹くエリアを意味する。ところが、2日に沖縄気象台がテレビを通じて午前5時に発表したデータには、宮古島で暴風エリアに入ったばかりの状態で秒速約16mの風が観測されたと、報道があった。ちょうどその時間、暴風域に入っている那覇では秒速25m。中心とヘリの真ん中に近い那覇で秒速25mとは何か。中心の予測された最大風速は50mで瞬間最大風速は70m。かなりの強さである。しかし、那覇市街地で瞬間最大で秒速25m。

 しばらくして50m台の瞬間風速が発表され、暴風が激しいことがわかったが、もしかすると、暴風域を拡大しておけば、被害が出ることがないと踏んだか。学校の休校を決めるタイミングを、早めたいからなのか。

 実際、どうしても活動しなければならない職業の場合は、自分で判断せよという、気象台の市民への突き放し処置なのか。私としては、はっきり暴風域サイズを見極めて、動ける時間帯を決めおきたいのだが、そこはもう気象台データには期待できないということらしい。

 2日午前5時時点で那覇が風速25mの観測があったとすれば、それは暴風域に達したということ。いうなれば、昔のような発表基準では、暴風域のサイズは半径約90k範囲と考えていいのでは。

 そう考えれば、瞬間最大風速のサイズを基準に暴風域を決めると、元来最大風速の基準で決めた暴風域のサイズは、瞬間最大風速が25mと予測される暴風域に変更されれば、より大きな範囲となる。
 瞬間最大風速が25mであれば、最大風速は10mほど。12.5mかも。そこが15m以下となれば、強風域にも達していない。
 しかし、12.5mならば、瞬間最大風速が突如起これば、多分25mほどになる可能性がある。そこで、暴風域として扱われるとすれば、なるほどとなる。

 なにぶん、万が一にも、被害が大きくなれば、気象台が責任を担わねばならない。そう国民が考えるとすれば、そうなるということ。
 私の経験上、風速40mが吹く時、人は外には出られない。30mでも危険。そこは別世界。テレビクルーが、風が来ない側のビルで中継して見せるのがやっとの状況。
 台風は秒速30mで、手のひらを一瞬でも風雨にさらせば、真っ赤。尋常ではない。
 車が走れるのは、25mぐらい。ビル街では、風が直接来なければ、30mでもなんとか大丈夫かも。この状況がいつ来るかが、今回のような報道発表では、わからなくなるということ。現場にいない人、暮らす時間の短い職員には、どうでもいいことなのだろう。
 日本が、万事こんな具合いで、あらゆる情報リリースが、無益になっていくのかと思うと、先が思いやられる。

 沖縄本島での瞬間最大風速50mクラスは多大な停電をもたらしている。もし最大瞬間風速60mが来ていたら、電柱が折れ始め、復旧はかなり大変になる。石垣島には1994年頃からよくきた台風だ。連続したために、山が茶色に変色したものだった。
 そうなっていないことを、祈るばかり。これから本土に向かう台風は、海の物流を停止させる。沖縄本島への物資が滞るということは、八重山は後回しとなろう。

(流杉一行)

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