4月24日午後2時からアンパルの自然を守る会ほかWWFジャパンなど15団体が、記者会見を実施した。これは、株式会社ユニマットプレシャスが建設予定の石垣リゾート&コミュニティー計画に関し、沖縄県とかかわる知事許可事項に対し、12項目の要請を4月17日に県へ実施したことを、16団体が記者に公開説明したもの。
カンムリワシ、地下水汲み上げ、農薬や赤土流出、予定地の農振除外が誤りであること、計画側が示す経済効果の算定に誤りがあることなど、4部門ごとに説明。12項目を列挙して、自然を大事に思う市民にたいし、正しく内容を示すためにも、情報開示と正確な調査および審査を実施するよう要請するもの。
なかでも一日1000トンの水を消費する計画のこのリゾートは、その7割を地下水で賄うとしており、そこでの吸い上げが、隣接する名蔵アンパル湿地への影響が懸念されるとともに、近隣農家の農地や、周辺の自然環境への影響が大きくなることが、予測される。
毎日、消費される水資源は、重要なもので、地下水が枯渇すれば、海水が海側から逆流し、地下の環境への影響も起こってくる。また各所で汲み上げている地下水への、様々に影響が出てくる可能性がある。
この問題は、既存のリゾートの水の消費にも関心が向くことも含めて、市民が真剣に考えなければならない部分。電力会社のごとく、下手をすれば安直に水道料の値上げに及べば、だまされてしまうようなもの。市民は、この問題を真剣に考える段階にきている。コロナ禍がすみそうになって、突如、観光客の大挙しての来島が起こっている。思い出すのは2019年までのあの繁忙の日々。
また、元来2年前に世界遺産になった西表島は、生物多様性の象徴ともいえる存在。そこといっしょに国立公園となっている石垣島で、大量の地下水をくみ上げる事態は、素通りでは日本の国立公園の拍が落ちるというもの。
昨今、生物多様性を尊重した観光のあり方が模索される時代でもある。SDGsが提唱される中で、開発に偏った高度経済成長期を思わせる自然の保全を顧みない遅れた開発が容認された時代へ、逆戻りすることは、現代の行政の進む方向とは思えないこと。国際的にも呆れられる状況であるのは明白である。
(流杉一行)