田んぼ貸してください!

2月の八重山は田植えの時季。平田原の田んぼは1期米の植え付けがほぼ終わった頃。5、6月には収穫できる。どこよりも早い日本一の早場米である。で、きょうは米作りの話題をひとつ。

さいきん新聞に「田んぼ貸してください!」という広告を見かける。広告主は農業生産法人㈱みやぎ米穀。みやぎ米屋が立ち上げた農業生産法人である。どういうことなのか。会長の宮城隆さんに聞いた。

「与那国から、田んぼを借りないかと電話がありました。さすがに与那国島まで行って米作りはできません。大阪からも、石垣島に田んぼを持っているがという電話がありました。けっこう反響があります」

宮城さんがアクションを起こしたのは、八重山の米作りの衰退を危惧するからだという。県の調査によると、平成24年の八重山の米の生産高は1619トン(石垣市1300トン、竹富町243トン、与那国町76トン)。平成20年は2000トンの生産高だから、4年間で八重山全体で400トン近く減少している。

「我々(米屋)は米がなくなることがいちばん怖い。石垣島は沖縄県でいちばん田んぼの多いところ。島産米の需要はあるのだからたくさん米をつくってもらいたい。しかし荒れたままの田んぼも多い」

きっかけは、JAからのアドバイス。石垣の米作農家が高齢化して後継者不足に悩まされている。ちかい将来、米が半減するかもしれない。自分で米を生産することも考えたほうがいいんじゃないか。

「去年、たまたま田んぼを売るという人がいて、それが5反(1500坪)だった。5反あれば農業従事者になれる。背中を押されるように、よし、やってみようと踏み出しました。全国の米屋さんをみていると、産地の米屋さんはほとんど自分で米を作って6次産業化をしているんですね。私のところは始めたばかり。ずっと先の話ですが、6次産業化をめざせればいいですね」

「もったいない」と宮城さんは言う。
「八重山の米は内地が田植えをしようとする頃に収穫する超早場米ですから、内地に出せばあっという間に売れると思いますよ。私たちには売る自信があります」と。

しかし農家は米作りで暮らしが立てられるのか。問題はどこにあるのか。米作従事者の高齢化、後継者問題とあわせて、行政が中心になって問題の交通整理から始めていく必要があるのではないか。

(写真は、1期米の植え付けを終えたばかりの平田原の田んぼを背にした宮城隆さん)

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