16日祭(ジュールクニチ) 雨模様&コロナ禍で

 2月16日は旧暦の1月16日で沖縄の伝統行事、あの世の正月とされる16日祭(ジュールクニチ)の日。お墓で家族そろって先祖とともに新たな年の到来を祝い、宴を催すもの。特に宮古や八重山など先島地区では盛んに行われている。

 新型コロナが日本に入って3年目。コロナ禍での人の移動自粛が続き、寂しい日々にこの日ぐらいは親族・親戚と再会をと思うも、オミクロン株の感染力からまん延防止措置がとられている最中でもあり、感染防止策を遵守しながら、お墓に集まりたいところ。

 石垣島では、前日の朝は晴れたものの、その後の天候は崩れて雨天模様のまま。天気予報も16日午前は曇りで午後は雨の予報となったことから、墓での宴は見送られ気味。

 16日の午前9時から降雨がはじまり、予報より早まったが11時30分頃から晴れてきて、墓に向かう車も増え始めていたが、例年に比べると少ない賑わいとなっていた。

 ただ、例年同様に午後から店を閉めるところもあり、小中学校も午前で帰宅。天候が悪ければ墓所へはいけなくとも、家で伝統行事は継承される。

 市街地北の桟橋通り沿いの上原地区では、午前11時頃、まだ雨の中ながら、早くから墓に訪れて墓に集い、供物を捧げて供養をしている様子が見られた。

 雨の勢いもあり花が生けられても、人影ないところも多く、コロナ禍に天候の崩れも影響して生憎の16日祭になりそうだったが、昼頃にはすっかり雨が上がり、人出も増えて賑わいがうまれていた。

午前11時、石垣佳彦(85)さんのお墓では家族数人が集い、墓前に供えられた重箱に詰められた華やか料理を前に、手を合わせる姿が見られた。

 昨年11月に他界した妻・一枝さん(往年83)の最初の16日祭とあって、雨も中でも墓前に集い、家族で思い出話に花を咲かせ、料理が上手でやさしかった亡き人を偲んでいた。

 娘のあかねさん(47)は、「毎年、母といっしょに16日祭の料理をつくってきて、今年は料理の上手だった母を想いながら、力を尽くしました」というと、あかねさんの夫の飯田泰彦さん(54)が「これまで供物の料理を撮影していたので、その写真を見ながら仕上げていました」と孤軍奮闘ぶりを添えていた。

 一同であれこれ賑やかに語る中、次第に雨が上がり、空が明るくなると「お母さんが、喜んで晴れにしてくれた」と弾む声が墓所に響いて、「16日祭はこれからだよ」と石垣さんは言っていた。
 
 実際、このあと天候は14時ぐらいまで安定していた。

 (流杉一行)
 

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