9月29日午前10時から石垣市民会館中ホールで石垣市手話言語推進協議会委員会委嘱状交付式並びに第一回会議が開催された。
冒頭、委嘱状交付式が行われ、学識経験者、聴覚障害者関係団体、手話関係団体、教育機関、福祉関係団体などの他、雇用、観光、医療の団体代表や、行政職員そして、市民代表も加わる17名へ委嘱状が石垣市長から交付されていた。
挨拶に立った石垣市長は、平成31年3月に制定された石垣市手話言語条例の目的が、市民の手話への理解および普及を図ることにより、手話を使いやすい環境を構築し、手話を必要とする人が安心して暮らすことができる地域社会を実現することにあると述べ、委員がそれぞれの立場から、率直な意見を述べ、手話の普及に寄与することを期待すると述べていた。
このあと、委員の自己紹介があり、会長が大田幸司氏に、副会長が後藤一彌氏に選任された。
大田会長の挨拶では、市議会で条例が可決された時は、まだ真っ白な条例で、これから皆で協力して色を付けていく矢先にコロナ禍となったと述べ、この協議会第一回目の会議の日を迎えて、障がい者が皆輝けるような環境を協議会を通じてつくっていきたいと抱負を述べていた。
会長が議長となり議事は進められ、「石垣市の現状と課題について」と「石垣市手話言語推進協議会設置要綱改正について」が報告された。
「同改正について」では、協議会の会議は必要に応じて会長が招集し、委員の過半数が出席しなければ開けないことや、「やむをえない理由により会議を開くことができない場合に、事案の概要を記載した書面表決により会議の開催に帰ることができる」とする、コロナ対応ともみなせる項目も加えられて、時局対応に斬新さが現れていた。
このあと、施策の推進方針について協議が行われ、各委員から活発な意見が出ていた。
八重山病院には、聴覚障がい者とのやりとりに活用されるタブレット端末があり、やりとりができるが、肝心のコロナ外来のかりゆし病院では、聴覚障がい者とのやりとりをするタブレットが置いてないことで、聴覚障がい者には不安なことが報告されていた。
自身で疑わしいと思った時にPCR検査を受けたいと連絡できるところが全市民誰もに平等にあると思っていた市民には、意外な盲点の発見といえた。
このほか、観光のガイドに聴覚障がい者の観光客もガイドできるような、手話言語に通じてかつ八重山観光に詳しい人を養成してほしいという声なども出ていた。
このほか、スマホの聴覚障碍者用のアプリで警察へ連絡した時、警察からスマホで電話が何度もかかってきて、警察側が聴覚障がい者は電話に出られないことがわからないため、困ったことが出て、万が一に備える防犯・防災の側の聴覚障がい者への配慮を再確認する必要が出ていた。
一見すると、聴覚障がい者とわからないことや、視覚障がい者でも白杖を持たない人もいるので、防犯・防災を担うマンパワーは障がい者への知識はなければいけないはず。
東京2020パラリンピックがあった年であれば、障がい者への理解が深まる年にならねば意味がないはず。無観客開催がそのきっかけを失っているとすれば、それに代わるものを意識することも、必要な気がする。
高齢化社会が進む日本。どんな健常者も、高齢になれば自ずと高齢者の仲間入りをする。障がい者に不便な街の放置は、高齢になってからの、いわば経験の浅い障がい者自身に厳しく返ってくるのは間違いない。
障がい者の声の大切を、年老いてから知るようでは遅すぎる。
(流杉一行)